
【小児科医監修】脳性まひ
【主な症状】まひ・筋緊張
【主な症状】まひ・筋緊張
【症状】脳の障害で運動機能や姿勢に異常が出る
胎児期、出生時、新生児期のいずれかの時期に脳に障害が起こり、運動機能や姿勢に異常が現れる病気です。運動面に異常が出るのは、脳の運動機能を司る部分に障害が起こるためです。
原因
脳性まひの原因としては、早産、新生児仮死、中枢神経系の先天異常のほか、妊娠高血圧症候群、頭蓋内出血、新生児期の髄膜炎(ずいまくえん)、脳炎などの後遺症が挙げられます。以前は分娩障害や核黄疸(かくおうだん)が原因の脳性まひが多かったのですが、医療の進歩によってこうしたケースは減少しました。
運動障害
症状は、障害のある脳の部位によって異なります。一般に、手足の緊張が強く、体がかたくなったり、異常に反り返ったりします。意思に反して手足が激しく動いてしまうこともあります。
また、首のすわり、お座り、ひとり歩きなど運動機能の発達が遅れる、原始反射が消えない、全身または半身がまひするといった運動障害が見られます。重度の脳性まひは早い時期に発見されますが、片まひ(半身のまひ)の場合は、症状が軽いと見過ごしてしまうことも。歩き始めるころになってまひに気がつくケースもあります。
脳性まひは、必ずしも知的な障害を伴うものではありません。しかし、障害が脳の広範囲に及ぶ場合は、知的障害や言語障害を伴う場合も見られます。
【治療】機能訓練を積み重ねて発達を促す
軽い脳性まひの場合は、成長にしたがってまひが目立たなくなり、歩くこともできるようになります。
症状が重い場合は、早い時期から地域の療育センターなどの専門機関で発達を促す訓練を受けることが大切です。損傷を受けた脳の部分を元どおりに治すことはできませんが、早い時期から機能訓練を積み重ねることで、座る、立つ、歩くなどの運動機能を獲得していくことができるからです。
なお、筋緊張が強い場合など症状によっては、筋肉の硬直を緩和する筋弛緩剤や、抗けいれん剤などを使用して治療する場合もあります。
日常生活の中では、自立に向けていろいろな場面で一歩一歩前進できるように、ほめたり励ましたりしながら根気よく見守ってあげてください。
写真提供:ゲッティイメージズ
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