【小児科医監修】ロタウイルス腸炎（白色便性下痢症・冬季下痢症）

嘔吐と激しい下痢を起こす病気です。下痢便の色が白いことから白色便性下痢症ともいわれます。また、寒い季節に多いので冬季下痢症と呼ばれることもありますが、最近は冬以外にも見られます。　原因はロタウイルスというウイルスで、便を介して口から感染します。2歳ごろまでの子がかかりやすく、乳幼児の下痢の代表的なものです。重症化しやすいので早めのワクチン接種で予防しましょう。

ほとんどの場合、激しい嘔吐から始まります。発熱やせき、鼻水などのかぜ症状を伴うこともありますが、かぜの兆候が見られないことも少なくありません。

嘔吐にやや遅れて激しい下痢が続きます。嘔吐は1〜2日で治まりますが、下痢は徐々に激しさを増し、多いときには1日に10回以上も出ることがあります。

さらに、便が白っぽく、お米のとぎ汁のような水様便になり、酸っぱいにおいがします。腹痛のために、赤ちゃんは非常に不きげんになります。

ひどい下痢は3〜4日続き、その後徐々に回復。1週間ほどすると、元のうんちの状態に戻っていきます。

嘔吐や下痢が始まったら、早めに小児科へ。医師にはうんちの形状や回数、においなどを伝えましょう。下痢便のついたおむつを持参すると、より診断がつきやすくなります。　

ただ、ロタウイルスに効く特効薬はないので、吐き気止めや下痢を緩和する薬などが処方され、家庭で適切なケアをしながら回復を待つことになります。

ロタウイルス腸炎にかかったとき、最も大切なのは水分を補給して脱水症を防ぐこと。嘔吐や下痢によって体内の水分が急速に失われるからです。

とはいえ、吐き気が強いときに一度にたくさん飲ませると吐いてしまいます。スプーンやスポイトなどで少量ずつこまめに水分を与えましょう。

飲ませるものは、湯ざまし、麦茶、赤ちゃん用イオン飲料など。かんきつ系のジュースや乳製品は嘔吐を誘発するので、避けてください。また、冷たすぎる飲みものはおなかを刺激しますから、室温程度のものを与えましょう。

おしっこの回数や量が減った、唇や肌が乾いてカサカサしている、泣き声が弱々しくグッタリしてきた、などのようすが見られるときは、脱水症を起こしているおそれがあります。大至急、受診を。

おしり対策も大切です。下痢がひどくなるとおしりがただれるからです。うんちをしたら、できるだけ早くお湯で絞ったガーゼでやさしくふき取ってあげます。その後、お湯を張った洗面器におしりを入れて洗ったり、シャワーでさっと汚れを流しましょう。

洗った後は、少しの間おしりを乾かしてから新しいおむつをつけるようにすると、おむつかぶれの予防になります。

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