「遊び飲み」とは
「遊び飲み」という医学的な単語はなく、明確に定義することは難しいのですが、遊び飲みとは赤ちゃんおよび母体に身体的な異常がない状態で、赤ちゃんが母乳やミルクを飲まない状態を示すことが多いようです。生後3ヶ月以降にみられることが多いとされています。
具体的には、以下の行動などが挙げられます。
・おっぱいをくわえたまま吸わない、キョロキョロする、笑う
・乳頭を噛む
・おっぱいで遊ぶ
そもそも医学的な単語がないということは、「遊び飲み」が異常ではない、また遊び飲みをするかどうかはかなり個人差があることを意味します。
哺乳ストライキ
母乳育児支援を行う専門家の中では、遊び飲みと近い状態を意味する「哺乳ストライキ(Nursing Strikes)」という言葉が使われることがあります。
哺乳ストライキは様々な要因により一時的におっぱいを飲まなくなることを指し、多くの場合は2〜4日以内で終わるとされています。
赤ちゃんはどうして遊び飲みをするの?
遊び飲みが多く見られるのが生後3ヶ月以降ということを踏まえると、遊び飲みする背景には赤ちゃんの成長がまず挙げられるでしょう。
生まれた直後は視力も聴力も弱く、母乳やミルクを飲むのに精一杯だった赤ちゃんですが、母乳やミルクを飲むことに徐々に慣れると同時に、身体機能も少しずつ発達していきます。
そんなとき、今まで見えなかったものが見えて、聴こえなかったことが聴こえるようになると、母乳やミルクよりもそちらに興味津々になることもあるでしょう。結果、「遊び飲み」という状態になるのではないかと考えられます。
また歯が生える前兆で、歯茎が少しかゆくて気になることも影響している可能性もあります。
それでも心配になってしまう遊び飲み……どうすればいい?
赤ちゃんの成長の証だとわかっても、やはり今まで飲んでいた母乳やミルクを飲まないとなると心配になりますよね。
また、授乳のたびに時間がかかると、忙しいママにとって辛い時間になってしまうかもしれません。
遊び飲みの状態が見られた場合、まずは赤ちゃんがおっぱいに集中出来る環境を作ってあげましょう。テレビの音量を小さくしたり、スマホの画面は一旦閉じて、お母さんも赤ちゃんとの授乳に集中しましょう。
どうしても上手くいかない場合は、本当にお腹が空いていなかったり、今は飲みたい気分ではなかったりする可能性もあります。そんなときは一旦切り上げて、お互い少し気分転換したあと、再度トライしてみましょう。
遊び飲みで気になる症状
基本的に「遊び飲みをする」という理由で病院を受診する必要はありません。ただし、「遊び飲み」が続く結果、
・授乳回数・ミルクの哺乳量が大幅に減る
・赤ちゃんの体重が増えない
・赤ちゃんのおしっこ、うんちの回数が減った
・ぐったりしていて飲まない
などの症状があった場合は、かかりつけの小児科を受診しましょう。
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遊び飲みが赤ちゃんの成長の証である一方で、毎度となるとお母さんにとっては負担になるかもしれません。
しかし、その状態がずっと続くわけではありません。あまり気負わず、赤ちゃんとの時間を過ごしてください。
何か困ったことや心配な点がある場合は、遠慮なくかかりつけの小児科や地域の保健センターへ相談してみましょう。
参考:La Leche League International、「Nursing Strikes 」(2020年3月16日閲覧)
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