【医師監修】頸管無力症とは?流産や早産のリスクがあるって本当? | MAMADAYS(ママデイズ)
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【医師監修】頸管無力症とはどんな状態?流産や早産のリスクがあるって本当?

【医師監修】頸管無力症とは?流産や早産のリスクがあるって本当?

頸管無力症(けいかんむりょくしょう)は、発生率は0.06~1%程度とまれですが、流産や早産の原因の約20%を占めており、赤ちゃんの命に関わる病気です。今回は、頸管無力症の症状や治療法についてご説明します。
頸管無力症(けいかんむりょくしょう)は、発生率は0.06~1%程度とまれですが、流産や早産の原因の約20%を占めており、赤ちゃんの命に関わる病気です。今回は、頸管無力症の症状や治療法についてご説明します。

頸管無力症とは?

子宮は風船のような形になっており、口の部分が子宮頸管、膨らんだ部分が子宮体部*2(赤ちゃんが育つ場所)にあたります。

風船の中に水を入れた状態を想像してみてください。膨らんだ部分を上にした状態にすると水は外に出てしまいますが、口の部分を閉じると、水が出ることはありません。

正常な子宮頸管は、子宮内部の圧力に耐えられる強度を持っており、しっかり閉じた状態が保たれています。

しかし、頸管の強度が十分ではなく、赤ちゃんの成長に伴う圧力の上昇に耐えられない場合があります。この状態を頸管無力症と呼びます。

頸管無力症が進行すると、流早産や前期破水(陣痛が来る前に破水した状態)の原因の一つとなり、赤ちゃんが子宮外に出てしまうと、妊娠が維持できなくなります。妊娠22週未満に赤ちゃんが出てきてしまうと流産、22週以降は早産となりますが、新生児治療が必要となり、週数によっては救命がむずかしいこともあります。そのため、進行する前に発見し、適切な治療を行うことが重要です。

頸管無力症の症状は?検査はなにをするの?

頸管無力症は、自覚症状がないのが特徴です。圧迫感や腹痛などの症状がみられる場合も一部ありますが、多くは静かに進行していきます。そのため、内診やエコー検査をしないと診断ができません。

頸管無力症になった場合、エコー検査(経腟エコー)で子宮頸管が短くなったり、子宮頸管の内子宮口側(子宮側)がくさび型やU字型に開いている状態を確認できます。

頸管無力症の治療法は?

頸管無力症の治療法は、安静療法と頸管縫縮術の2つがあります。

安静療法

子宮頸管が短くなったり開いてくるなどの頸管無力症の状態が確認されたら、できるだけ安静にし、膣鏡診(膣からの診察)、エコー検査、週数によってはNST(赤ちゃんの状態とお腹の張りを見る検査)で状態をチェックしていきます。

安静療法は、自宅でできるだけ安静にする場合と入院が必要になる場合があります。

頸管が非常に短くなっている場合や赤ちゃんの入った袋(胎胞)が膣から見えている場合などは、ベッド上での絶対安静が必要です。食事もベッドで横になったまま、必要最小限しか動かないようにするケースもあります。

管理入院を行う場合には、子宮収縮を抑えるために子宮収縮抑制薬の持続点滴が行われることが多いです。

頸管縫縮術

子宮頸管を糸で縛る方法で、シロッカー法とマクドナルド法があります。

子宮収縮などの切迫徴候の有無や週数などによって、実施するかどうかが判断されます。

・シロッカー法

子宮頸管の内子宮口側(子宮側)を糸で縛る方法です。

マクドナルド法よりも技術的には難しく時間がかかりますが、効果は高いと考えられています。

・マクドナルド法

子宮頸管の外子宮口側(膣側)を糸で縛る方法です。

シロッカー法よりも比較的簡便に行うことができます。

頸管無力症を悪化させないための予防法はある?

一人目の妊娠で頸管無力症と診断されたり、その疑いがあった場合(妊娠12週以降の流産や早産だった場合)、二人目以降の妊娠でも頸管無力症になる可能性が高くなります。また、子宮頸がんなどで子宮頸部円錐切除術を受けたことがある場合も、注意が必要です。

これらの場合、定期的な経過観察や予防的に頸管縫縮術を受けるなどの対応をとります。

経過観察

経過観察の場合、子宮頸管が短くなったり、開いたりしていないかを定期的にチェックすることになります。

頸管が短くなったり、開いたりする兆候が見られた場合には、安静療法や頸管縫縮術を受ける必要が出てきます。

ただし、子宮頸部円錐切除を受けた場合には頸管縫縮術を行うことが難しく、安静入院となることもまれではありません。

予防的頸管縫縮術

予防的に頸管縫縮術を受ける場合、手術時期は妊娠12週以降で早い週数のうちに実施することが多いです。

これは、妊娠12週未満で行うと流産の危険があり、週数が遅いとすでに頸管無力症を発症しやすい妊娠中期(妊娠16週~27週)にさしかかってしまうためです。

方法は、治療目的の頸管縫縮術と同様になります。

自分でできる予防法

できるだけ安静にし、ストレスや疲労を避けるようにしましょう。

発症した場合、長期入院になる可能性も出てきます。周囲に説明し、協力を仰ぎましょう。

上の子がいる場合や仕事がある場合には、なかなか安静にすることが難しいですよね。そんなときは家事はできるだけ外注し、自分と赤ちゃんへの負担を最小限にしましょう。

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頸管無力症は流産や早産の原因の一つになるため、できるだけ早い発見と適切な治療を受けることが大切です。

特に、前回の妊娠で発症経験のある方は繰り返すケースが多いため、産婦人科医師にその経過を必ず伝えるようにしましょう。

頸管無力症に関する正しい知識を持つことは、赤ちゃんの命を守ることに繋がります。ぜひ、ほかの病気や状態についても知識を深めてみてください。

参考:

  • 医療情報科学研究所(編)、「病気がみえる vol.10 産科 第4版」、株式会社メディックメディア、2018年
  • 公益社団法人 日本産科婦人科学会・公益社団法人 日本産婦人科医会、「産婦人科診療ガイドラインー産科編2017」 、2017年(2020年4月10日閲覧)

写真提供:ゲッティイメージズ

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