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【専門家監修】育児休業中に退職……育児休業給付金はどうなる?

【専門家監修】育児休業中に退職……育児休業給付金はどうなる?

育休中にやむを得ず退職……。その場合、「受給中の育児休業給付金はどうなるの?」「返金の必要は?」など、疑問に思うこともあるのではないでしょうか。今回は、退職する場合の育児休業給付金についての疑問にお答えします。
育休中にやむを得ず退職……。その場合、「受給中の育児休業給付金はどうなるの?」「返金の必要は?」など、疑問に思うこともあるのではないでしょうか。今回は、退職する場合の育児休業給付金についての疑問にお答えします。

育児休業給付金はそもそも復職することが前提

会社を退職してしまうと育児休業給付金がもらえなくなるのは、この制度がママやパパの職場復帰を前提にしているからです。

そのため、育児休業を始めるまでに退職を考えていた場合は、支給対象となりません。

退職した月以降の支給はストップ 返金は不要

結論からいうと、育児休業給付金を受給しているときに会社を退職すると、退職日の属する期間の1つ前の期間まで支給されます。

また、それまでに受け取った給付金を返金する必要はありません。

支給単位期間とは

支給単位期間とは「育児休業開始日から1ヶ月単位で区切られた期間」のことです。

例えば、3月18日に育児休業を開始すれば、「3月18日~4月17日」や「4月18日~5月17日」などが支給単位期間となります。

育児休業給付金制度では、支給単位期間(1ヶ月)ごとに、対象者が条件をクリアしているか審査され、2ヶ月分まとめて支給されます。

例えば、「3月18日~4月17日」と「4月18日~5月17日」の2ヶ月分の支給単位期間について支給できることがわかれば、5月18日以降に2ヶ月分のお金が振り込まれます。

退職した場合、育児休業給付金がストップするタイミングは?

支給は、退職日が含まれる一つ前の支給単位期間まで

退職すると、育児休業給付金の給付が止まりますが、

具体的には、退職日が含まれる支給単位期間の一つ前の期間分までの支給となります。退職日が含まれる支給単位期間の分の給付金は支給されません。

例えば、3月18日に育児休業を開始した人が6月5日に退職すると、「4月18日~5月17日」の支給単位期間の分の育児休業給付金はもらえますが、「5月18日~6月17日」以降の支給単位期間の分の育児休業給付金はもらえません。

ただし、退職日が支給単位期間の末日だった場合は、その支給単位期間の分の給付金はもらうことができます。

例えば、6月17日が退職日であれば「5月18日~6月17日」の支給単位期間の分の育児休業給付金はもらえます。

復職後、すぐに退職したらどうなる?

育児休業を終え、職場に復帰してすぐに退職すれば、育児休業給付金を全額受け取ることができます。返金する必要はありません。

しかし、復職が前提になっている以上、やむにやまれぬ事情がない限り、まずは復職後も勤め続けられる方法はないか探してみましょう。

退職するなら失業手当の受給期間延長も検討を

もし、出産や育児を機に会社を退職する気持ちがある場合には、育児休業給付金ではなく、雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当のこと)受給期間の延長申請を検討してみてはいかがでしょうか。

基本手当を受けられる期間は原則退職した日の翌日から1年間ですが、就職したいという積極的な意思と、いつでも就職できる能力が必要なので、育児のために働くことができないという状態のうちは、受給することはできません。

しかし、期間内に育児などで「30日以上継続して職業に就くことができない場合」は、その働けない期間を受給期間に追加でき、最大3年間まで延長できます。つまり、本来基本手当を受けられる期間の1年間に延長した3年をプラスして、最大4年間で受け取れることになります。そして再び就業できる状態になったあとに、受給手続きができます。

受給期間延長の手続きは、離職した日の翌日の30日後から行えます。

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育児休業給付金は、育児休業が終わったあとの復職を前提にしているので、退職を予定している人は申請できません。

ただ、育児休業に入る前は復職するつもりでも、さまざまな理由から退職せざるを得ない場合もあります。その場合でも、退職日が含まれる支給単位期間のひとつ前の支給単位期間の分まで育児休業給付金は支給されます。

退職後は状況に応じて失業手当の受給も検討可能です。

それぞれの事情に応じて育児をしながら無理なく働く道を選ぶために、制度の詳細を知っておくといざというときに準備できるかもしれませんね。

写真提供:ゲッティイメージズ

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