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【医師監修】分娩誘発について知りたいこと 流れやかかる時間、痛みやリスクはある?

分娩誘発について知りたいこと 流れやかかる時間、痛みやリスクはある?【医師監修】

出産予定日を過ぎたり、破水から時間が経過している場合に行う分娩誘発。どんな流れで行うのか、かかる時間や追加費用、リスクなど、分娩誘発について説明します。
出産予定日を過ぎたり、破水から時間が経過している場合に行う分娩誘発。どんな流れで行うのか、かかる時間や追加費用、リスクなど、分娩誘発について説明します。

分娩誘発とは?

本来自然に起こる陣痛を薬や機械的な処置によって人工的に発生させることを分娩誘発と言います。

どのような場合に分娩誘発を行うの?

自然な分娩開始を待てないときに分娩誘発を実施します。

具体的には、出産予定日を2週間過ぎたとき、破水から時間が経過しているとき、母体や赤ちゃんに何かしらの異常があり、妊娠を早く終了したり赤ちゃんを早く外に出した方がよい場合に実施します。

また計画分娩の際も分娩誘発を実施します。計画分娩を実施する背景は様々ですが、最近では無痛分娩時に計画分娩を実施する施設もあります。

分娩誘発の流れ

予定分娩誘発を実施する場合、初産婦(出産が初めてのママ)では前日に入院する施設が多いです。そこで子宮口の開き具合やお腹の赤ちゃんの状態を診察します。経産婦(出産が2度目以降のママ)は当日入院も可能です。

子宮口が開いていない場合は、子宮頸管熟化処置(メトロイリンテルやダイラパン挿入)を行うことがあります。

分娩誘発当日は、再度診察して母子共に問題なければ、分娩誘発を実施します。

破水から時間が経過している場合や胎児機能不全など、分娩誘発を一刻も早く始めたほうがよい場合は、その時点で分娩誘発を開始し、子宮頸管熟化処置はしないこともあります。

分娩誘発に用いる子宮収縮薬(陣痛促進剤)はガイドラインで定められた量から開始します。そのため、投与を始めてすぐに急激な陣痛が起こることはほとんどありません。

陣痛の間隔や強さ、子宮口や赤ちゃんの状況をモニターや診察で確認しながら、少しずつ薬の量を増やし陣痛を起こしていきます。

分娩誘発する場合、出産までにどのくらいの時間がかかるの?

これはとてもよく聞かれる質問ですが、かなり個人差があり、一概に何時間とは言えません。

分娩所要時間は陣痛が始まった時間から胎盤が出るまでの時間を指します。一般的に分娩所要時間は初産婦の場合12〜15時間、経産婦は5~8時間程度といわれていますが、これにもかなり個人差があり、この通りでないことも多くあります。

さらに分娩誘発を行う場合、これに陣痛を起こすための時間がプラスされます。誘発をしてすぐに陣痛が始まる人もいれば、中には数日かかる人ももいます。

分娩誘発では痛みやリスクはあるの?

痛みの感じ方は人それぞれで、無痛分娩ではない限り陣痛と同様の痛みは生じますが、自然陣痛より痛いというわけではありません。

分娩誘発のリスクとしては、通常の分娩のリスクに加え、薬剤使用に伴うリスクが生じます。代表的なものでは、陣痛が強くなり過ぎる過強陣痛や、赤ちゃんに過度なストレスが生じる胎児機能不全、子宮が破裂してしまう子宮破裂などが挙げられます。リスクを回避するために注意深く観察します。

分娩誘発をするのに追加費用はかかる?

処置が増えるため、その分費用は上乗せになります。

使った薬剤の量や施した処置の種類、分娩所要時間によって費用は異なりますが、数千円から数万円ほど上乗せになる場合が多いようです。

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分娩誘発と聞くと、不安・心配になるママもいるかもしれませんが、医療スタッフは母子の安全第一で、万全の体制でお産をサポートします。

心配なことや不安、わからないことがあれば遠慮なく産科医や助産師に聞いてみましょう。

参考:医療情報科学研究所(編)、「病気がみえる vol.10 産科 第4版」、株式会社メディックメディア、2018年

写真提供:ゲッティイメージズ

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