鼻血を出す子ども

RyanKing999/ iStock / Getty Images Plus/ゲッティイメージズ

子育ての悩み・トラブル

【小児科医ママに聞く】Q. 子どもがよく鼻血を出すのですが、大丈夫?

Q. 鼻血の止め方を知っておいてくださいね。 あまり頻繁なら耳鼻科を受診しましょう 

 鼻の中は粘膜に覆われていて、とても複雑な形をしています。鼻血は、主に鼻の左右を分けている仕切りである「鼻中隔」から出ることが多く、特に入口から 1cmくらい入ったところは血管が集中しているうえ、 表面に出ているために繰り返し出血しやすく「キーゼルバッハ部位」という特別な名前がついているほど。 だから、少しくらい鼻血が出やすくても不思議ではなく、それほど心配しなくてもいいでしょう。

 では、どんなときに鼻血が出るでしょうか。何かが鼻に当たったとき、鼻の中も傷ついて鼻血が出ることがあります。風邪、花粉症やアレルギー性鼻炎で鼻粘膜が腫れているときも出やすいでしょう。くしゃみをしたときや鼻をかんだとき、特に原因が思い当たらないときにも、なんらかの要因で鼻血が出ることはあります。子どもの場合は、鼻の中に指を入れたせいで出ることもあるでしょう。このような原因によって傷ついた粘膜には、治るまでかさぶたができますが、そこをつつけば繰り返し鼻血が出ますから、刺激しないようにしてくださいね。

 鼻血というと、放射能の影響を心配する人もいるかもしれません。放射線被曝による粘膜の傷害だとしたら、水疱や脱毛などの様々な症状が出てくるはずで、鼻血だけということはありません。実際、東日本大震災の際も、福島県立医科大学附属病院を含む福島県中通りにある3病院で、鼻出血患者数の増加はありませんでした(※1)。そういった症状は、短時間に大量の放射線を浴びないと起きないことを覚えておいてくださいね。

 鼻血が出たら、他の部位のケガと同じで、圧迫して止血しましょう。鼻の中に細長く巻いた ティッシュペーパーやきつく固めた脱脂綿をキーゼルバッハ部位に当たるよう入れて、小鼻をつまむように押さえて10分ほど待ちます。鼻に詰めるものがなかったら、小鼻をただ押さえるだけでもOK。出血部を心臓より高い位置にすると血が止まりやすいので、横になるよりも座 っていたほうがいいでしょう。鼻血が喉のほうにいくと気持ち悪くなるかもしれませんから、 鼻を圧迫したら顔は下へ向けましょう。頻繁に鼻に詰めたものを替えたり、鼻をかんだりしたら止まりかけていた出血が再開してしまうので、なるべく我慢します。

 よく「鼻に何か詰めるのはダメ」と言う人がいますが、鼻の粘膜を傷つけないような柔らかいものを使い、鼻血が止まったかどうかを確かめるために頻繁に取ったり詰めたりを繰り返さなければ大丈夫です。

 また「鼻や首を冷やすといい」、「首を叩くといい」という説も耳にしますが、外側から鼻を冷やしても、まして首を冷やしても意味がありませんし、叩いても止血にはつながりません。 また、通常はチョコレートや香辛料などの特定の食品を食べても、影響はありません。

 正しい方法を行えば鼻血は10分前後で止まりますが、なかなか止まらないとき、歯ぐきなどのほかの部分からも出血するとき、ささいなことで皮膚に青あざができるときは、耳鼻科か小児科にかかりましょう。ごく稀に、血液中の凝固因子や血小板が少なくなる病気や腫瘍などが 見つかる場合があります。しょっちゅう鼻血が出て日常生活で困る場合も、耳鼻科で相談してみてください。鼻粘膜を焼くという治療法があります。

 それから、顔にケガをして鼻血がなかなか止まらないという場合は、小児科ではなく外科系 である整形外科や耳鼻科にかかりましょう。骨折しているかもしれないし、外科的に縫うなどの治療が必要かもしれません。

※1 松塚崇『日本医事新報』 4774, 2015, p15-16

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