【小児科医ママに聞く】Q. 子どもが風邪のときにできることは? | MAMADAYS(ママデイズ)
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熱を出している赤ちゃん

【小児科医ママに聞く】Q. 子どもが風邪のときにできることは?

Q. 薬を飲んでも早く治るわけではありません。 居心地のよい場所でゆっくりさせてあげて

 風邪は、最も身近な感染症です。咳や鼻水、発熱などの症状が出る風邪を、医学用語では「急性上気道炎」とか「風邪症候群」と呼びます。

 そんな風邪の原因は、80〜90%がウイルス、残りは細菌などの病原微生物。全体の30〜50%はライノウイルスが原因ですが、その血清型は100種類以上あり、 ほかに原因となるウイルスだけで少なくとも数十種類があるので、原因の特定はほぼできません。

 そして、風邪薬というのは症状を和らげる対症療法の薬です。だから「風邪に特効薬はない」とか「風邪を治す薬を作ったらノーベル賞もの」などと言われているんですね。早く風邪薬を飲んでも、 早く病院や診療所へ行っても、早く治るということはありません。治すのは、患者さん自身。 つまり、子どもでも大人でもよく寝てよく休むことが何より大切です。

 まずは、環境を整えましょう。病気のときは横になって休むとラクなので、できれば清潔で柔らかい寝具があるといいですね。足音や話し声といった生活音まで控えなくてもいいと思いますが、騒音がするとか、振動が伝わるような環境ではゆっくり眠れません。ただ、ちょっとした風邪や少しくらいの発熱では元気な子もいます。日中は無理に寝かせる必要はありません。 過ごしやすい家の中で、いつでも休息がとれるようにして遊ばせましょう。

 それから寒いのも暑いのも、どちらもつらいものです。ちょうどいい室温と湿度が保たれていたら、居心地がいいでしょう。特に決まった数値はありませんが、冬季なら室温20〜22度で 湿度40〜50%、夏季なら25〜27度で50〜60%くらいを、おおよその目安にするといいかもしれません。熱があって暑がる場合や寒気がして手足が冷たいようなときには、お子さんの様子に合わせて調節してくださいね。衣服も同様です。

 食事はとれるなら、なんでもあげましょう。お子さんが小さかったら母乳や粉ミルクですね。 上気道感染(いわゆる風邪)の場合、食事制限をする必要はありません。調子が悪いときは、 バランスよく食べられなくても仕方がないので、食べられるものをあげてください。

 お風呂に入れるかどうかで迷う方も多いようですが、ぬるめのお湯に適度な時間つかることは、体に負担をかけません。ですから、高熱があっても元気なら、お風呂に入れても大丈夫。 でも、熱がなくてもぐったりしてつらそうだったら入れないでおきましょう。いずれにせよ、熱すぎるお湯に入れたり長湯させたりはしないでください。

 なお、風邪で医療機関を受診したときに「抗菌薬(抗生物質)をください」と言う方がいますが、だいたいのケースで抗菌薬は不要で、医師が不要だと判断したものは処方できません。 細菌が原因の肺炎や中耳炎、副鼻腔炎などの感染症に対して、その細菌に合った抗菌薬はよく効きます。でも、ほとんどの風邪はウイルスによるものなのでまったく効果がないからです。 しかも、細菌感染に対する予防効果がないばかりか、腸内細菌叢を乱してお腹を壊してしまったり、より薬が効きにくい耐性菌ができてしまったりということもあり得ます。

 最後に、有名な小児科の教科書には、子どもは平均して年6〜8回くらい風邪をひき、9〜15%は少なくとも12回も風邪をひくと記されています(※1)。そうして少しずつ強くなっていくので、お子さんの調子が悪いとき、必ずしも医療機関へ行かなくても大丈夫です。軽い風邪なら、慣れていて居心地のいい家で、周囲の人にやさしくしてもらうのがいちばんですね。重大な病気を疑うとき、家での看病だけではつらそうな場合は小児科を受診しましょう。

※1 Nelson Textbook of Pediatrics, 18th edition, Saunders, 2007, p1747-1749

写真提供:ゲッティイメージズ

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