帝王切開の費用はどのくらい?
帝王切開の手術費用は、診療報酬制度で定められており、緊急の帝王切開で22万2,000円、選択(予定)帝王切開で20万1,400円です(2020年10月22日現在)。
出典:「令和2年度診療報酬改定について 第3関係法令等 診療報酬の算定方法の一部を改定する件 」(厚生労働省)
(2020年10月22日閲覧)
しかし、帝王切開の手術に伴い、麻酔の処置を行う費用や、分娩介助料、入院費などが発生するため、合計では約50〜80万円台となるようです。地域や施設によっても費用に違いがあります。個室か大部屋を利用するかなどサービスの違いによっても費用が変わり、さらに高額となることもあります。詳細はそれぞれ希望する施設のホームぺージや資料、スタッフに確認してみましょう。
このように高額となる帝王切開にかかる費用ですが、ママとパパがすべてを負担しなければならないわけではありません。以下のような制度などで費用の負担を軽くすることができます。
帝王切開は保険が適用される?
出産は病気ではない、という考え方から経腟(けいちつ)分娩は健康保険の適応とならずに全額自己負担となります。
しかし経腟分娩が難しい場合の帝王切開での出産は医療行為にあたるため、健康保険が適用されます。自己負担額は3割です。
ただし健康保険の適用対象となるのは入院費用や手術代、治療費などで、入院中の食事や差額ベッド代は自己負担となります。
健康保険から支給される出産育児一時金とは?
経腟分娩、帝王切開に限らず、出産するとそれぞれのママが加入している健康保険から、子ども1人につき42万円が支給される制度です(双子84万円、3つ子126万円)。
※産科医療補償制度に加入していない病院では40万4,000円です。
「直接支払制度」といい、出産育児一時金を直接医療機関への支払いに利用する制度もあり、出産費用の負担を軽くすることができます。
出産する施設や、加入している健康保険によっても支給の方法が異なりますので、詳細はそれぞれの窓口に確認しましょう。
出産育児一時金について説明した記事もあります。ぜひ参考にしてみてください。

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今回は「出産育児一時金」についてご紹介します。
帝王切開でも使える?高額療養費制度とは?
高額療養費制度とは、一つの医療機関の医療費が一定の金額を超えた場合、健康保険から払い戻される制度です。
帝王切開は医療行為とみなされることから、手術やその後の治療にかかった費用が高額療養費制度の対象となります。
帝王切開や妊娠中入院が必要になり、医療費が高額になると予想されるときには、あらかじめ保険者に申請して「限度額適用認定証」を交付してもらっておきましょう。病院や薬局に提示することで支払いは高額療養費の上限ですみます。
加入している健康保険に手続きについて確認しておきましょう。
高額療養費制度についてわかりやすく説明した記事もあります。ぜひ参考にしてみてください。

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今回は「高額療養費制度」についてご紹介します。
帝王切開は加入している生命保険からも給付金を受け取れる?
民間の生命保険に加入していると、帝王切開をうけた場合、給付金を受け取れる可能性があります。
ただし、給付金を受け取ることができるのは妊娠する前から保険に加入していることが条件となることも。前回の出産時に帝王切開をしてからの加入では保障されないケースもあります。
加入している保険会社によっても違いがありますので、窓口に連絡して確認してみましょう。給付される場合は請求書類が送付され、必要事項の記入が必要となります。
帝王切開の費用は確定申告できる?
医療費控除といい、医療費が多くかかった年に、所定の手続きをすることで税金が軽減される制度があります。
家族全員の医療費(実際に自己負担した額)が1年間で10万円を超えた場合が対象です。また所得が200万円未満の人は、1年間の医療費の合計が所得の5%を超えた金額が対象となります。
妊娠、出産でかかった費用、帝王切開の手術代、治療費もその対象となります。
ただし実際に自己負担した金額が対象になるため、高額療養費制度などで保障された金額は差し引かれます。
実際に支払った医療費から10万円を引いた額を差し引いて税金を計算した分の差額が戻ります。
確定申告は住んでいる地域の税務署に確定申告書を提出するか電子申告をします。
詳しくは申請先の窓口やホームページで確認してみましょう。
医療費控除の詳しい情報は以下の記事も参考にしてみてください。

そのため出産費用の負担を少しでも減らす工夫が必要になります。
今回は負担軽減の工夫の1つになる、税金の額を減らす効果が生まれる医療費控除について紹介します。
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帝王切開での出産にかかる費用は、健康保険で自己負担額が一部3割となり、高額療養費制度が使用できるなど、ママとパパの負担を軽くすることができます。
手続きが必要となりますが、それぞれの出産する施設、保険組合などに事前に確認しておきましょう。
参考:
- 『高額療養費制度を利用される皆様へ』(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html (2020年10月22日)
『出産育児一時金等の医療機関等への直接支払制度等に関Q&A』(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken09/07-1a.pdf (2020年10月22日)
- No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)(国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm (2020年10月22日)
- No.1124 医療費控除の対象となる出産費用の具体例(国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1124.htm (2020年10月22日)