離乳食のパンはいつから食べられる?
離乳食でのパンはそのまま与えるのではなく、時期に応じた形態にしましょう。
食べやすくパン粥にするなど工夫をすれば離乳初期(生後5~6ヶ月頃)から開始できますが、パンの種類によって調理の仕方や与え方は異なります。
ここでは、パンの種類別に食べられる時期・形態をみていきましょう。
食パンはいつから始める?
添加物が少なく、材料が比較的シンプルなので、パンのデビューには食パンがおすすめです。離乳初期(生後5~6ヶ月頃)におかゆに慣れてきたら、パン粥にして与えることができます。
主な材料の小麦や、商品によっては乳製品、卵など、食物アレルギーの症状が出やすい食材を使っているものもあるので、離乳初期に与える場合は、この時期まだ少量しか与えられない「卵」を使用しているものは避けましょう。
また、初めて食べたあとは異常が出ないかよく観察しましょう。
パン粥を作るときは、食パンの耳は固いので切り落とします。サンドイッチ用のパンを使えば、耳がないので便利ですよ。
作り方はやわらかい部分を水や野菜スープ、粉ミルクなどでとろとろになるまで煮て作るのが一般的です。
パンは細かくちぎって使うのが簡単ですが、すりおろすと口当たりがよりなめらかになります。生のパンはすりおろしにくいので、冷凍したパンを使うのがおすすめです。
離乳食での食パンの与え方や進め方について、こちらの記事も参考にしてください。

ロールパンはいつから始める?
ロールパンは食べやすいパンのように思われがちですが、油脂分や塩分が多く入っているため、消化機能が未熟な時期には向いていません。
離乳食では離乳後期(生後9~11ヶ月頃)からがおすすめです。
初めは外側の茶色い部分を取り除き、やわらかい真ん中の白い部分を与えるようにしましょう。
ロールパンの与え方はこちらの記事でも確認できます。

そのほかのパン
フランスパンも材料がシンプルで、真ん中の白い部分はやわらかく食べやすいパンです。基本的には小麦粉、水、塩、イーストのみで作られますが、市販のものは日本人の好みに合わせて油脂分や牛乳などが含まれていることもあります。
中の白い部分をパンがゆにすれば離乳初期(生後5~6ヶ月頃)から可能ですが、添加物のあるものは与える量に注意し、離乳後期頃(生後9~11ヶ月頃)からにするのがおすすめです。
また、子どもに人気のパンのひとつにスティックパンがありますが、スティックパンには甘味や油脂分があるので、まずはシンプルな味の食パンに慣れてから与えます。
パンを始めた時期にもよりますが、おおよそ離乳後期(生後9~11ヶ月頃)と考えましょう。
離乳後期(生後9〜11ヶ月頃)になると手づかみ食べができる赤ちゃんも出てきますが、一度に口に入れてしまうと喉に詰まらせてしまう可能性もあるため、初めは小さくちぎったり、スープに浸したり、飲み物をこまめに与えるなど、食べやすくする工夫をして、必ず大人が口に詰まらせないかを見守りましょう。
こちらは離乳中期(生後7~8ヶ月頃)から食べられる蒸しパンの記事です。ぜひ参考にしてみてくださいね。

離乳食にはどんなパンがおすすめ?
スーパーやコンビニのパンコーナーでは、さまざまなパンが売られていますよね。離乳食作りではどのようなパンを選べばよいのでしょうか。向いているパンの種類や選び方についてみていきましょう。
離乳食に向いているパンの種類
離乳食作りに使うパンの基本は、塩分、糖分、油脂分の少ない食パンです。パンの開始時期や食べる量、食物アレルギーの有無などで個人差はありますが、離乳後期(生後9~11ヶ月頃)くらいになると、ロールパンやフランスパン、スティックパンなど、食べられるパンの種類も豊富になります。
菓子パンや惣菜パンなども食べられるようになっていきますが、固さや添加物、与える量には注意が必要です。
買うときは材料のここをチェック
パンを買う際には、パッケージの裏面の「原材料表示」に記載している添加物や「栄養成分表示」に記載している食塩や脂質の量を確認するのがおすすめです。
なるべく添加物が少なく、食塩相当量や脂質の量も少ないものを選ぶと安心です。
また、1歳未満の赤ちゃんは腸内環境が未熟なため、はちみつは与えないようにする必要があります(乳児ボツリヌス症にかかることがあります)。はちみつが使われているパンもあるので気をつけましょう。
さらにパンには、食物アレルギーを引き起こしやすい小麦、卵、牛乳が使われていることが多いので、心配な場合にはその食品の有無もチェックが必要です。
パンはどこで買う?手作りする?
パンはスーパーやコンビニでも簡単に手に入るほか、パン屋で買うこともありますよね。
パン屋で買うことのできる手作りのパンは、スーパーなどに売っている市販のパンに比べると添加物が少ない場合が多いかもしれません。
ただし、市販の袋に入っている商品だと原材料をチェックすることができますが、自分でトレーにとるパン屋などは原材料が書いていないこともあります。食物アレルギーが心配な場合には店員さんに聞いたほうが安心です。
また、子育てしながらだとなかなか難しいですが、もし余裕がある場合にはパンを自分で作ってみるのもよいかもしれません。原材料や使った量などが明確なうえ、焼きたての香りや風味を楽しむことができます。
一から手作りは大変かもしれませんが、ホームベーカリーを使えばこね、発酵、焼きが自動でできるので、材料を入れると意外と簡単に作ることができます。
そのほかに、フライパンで簡単に作れるパンのレシピなどもあるので、興味のある方は検索してみてください。
量はどれくらい?
初めて食パンを与える際はパン粥を離乳食スプーン1さじ与えます。食後は食物アレルギーの症状が出ないか、しばらく赤ちゃんの様子を観察しましょう。
与える時間は異常が起きた場合に病院を受診しやすい平日の午前中がおすすめです。
もし食物アレルギーの症状が出た場合にどの食材が原因かを特定できるようにするために、最初のうちは、パン以外の食材は赤ちゃんが食べ慣れたものを与えます。
パンの種類別に、与える量や大きさや固さの目安をみていきましょう。
食パン
食パンの時期別の大きさ・固さの目安

© 2015 every, Inc.
ロールパン
ロールパンの時期別の固さの目安

© 2015 every, Inc.
スティックパン
離乳後期(生後9~11ヶ月頃)からが目安となりますが、糖分や油脂分の量が多くならないように、1回あたりの量や頻度は控えめから始めましょう。
スティックパンの時期別の大きさ・固さの目安

© 2015 every, Inc.
フランスパン
ほかのパンと同じように塩分が入っているので、量や頻度が極端に多くならないようにしましょう。周りの固い部分はすべての時期において取り除き、中の白くてやわらかい部分を与えます。
フランスパンの時期別の大きさ・固さの目安

© 2015 every, Inc.
冷凍保存方法は?
パン粥
離乳食用の少量ずつブロックになっている冷凍保存容器や、ふた付きの製氷皿などに入れて冷凍し、凍ったら中身をチャック付きフリーザーバッグに移すのがおすすめです。

© 2015 every, Inc.
※画像は玉ねぎのペーストを冷凍しています

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※画像は玉ねぎのペーストを冷凍しています
1食分の量が増えてきたら、小さいふた付きの保存容器に1食分ずつ入れるのもよいでしょう。
手づかみサイズに切ったパン
1食分ずつラップに包んでから、チャック付きのフリーザーバッグに入れて冷凍保存するのがおすすめです。
保存期間
冷凍庫での保存期間は1週間以内が目安になります。まとめて離乳食のストックを作る場合は、1週間以内で食べきることができる量を作りましょう。
また、環境によって保存期間に差が出る場合があります。 匂い、味、色、食感が少しでもおかしいと感じたら廃棄してください。
解凍方法
- パン粥
電子レンジで解凍する場合
1.冷凍保存した離乳食よりも一回り大きい耐熱容器に、解凍したい離乳食を入れる。
2.水を少量かける(目安:キューブ1つに対して水小さじ1)

© 2015 every, Inc.
3.ふんわりとラップをして600Wの電子レンジで約50秒加熱して混ぜ、全体が熱くなるまで10秒ずつ加熱して混ぜる(キューブ2つの場合の加熱時間です)。
※水の量、加熱時間は量などによっても異なるので、様子を見ながら適宜調整してください。
小鍋で解凍する場合
1.小鍋に解凍したい離乳食を入れる。
2.水を少量かける(目安:キューブ1つに対して水小さじ1)。

© 2015 every, Inc.
3.弱火にかけて沸騰するまで混ぜながら加熱する。
※水分がなくなりそうな場合は水を適宜追加する。
- パン
解凍する量にもよりますが、電子レンジで20〜30秒ほどずつ様子を見ながら加熱して解凍するのがおすすめです。
意外とすぐに解凍され、パンの底や中心部分が熱くなりやすいので気をつけましょう。
パンを使った離乳食のレシピ
パンを使った離乳食のレシピは、こちらの記事から一覧で見ることができます。
どのレシピも動画で見ることができるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

管理栄養士のひとこと
パンにはさまざまな種類があるので、購入する際は原材料を必ずチェックしましょう。
また、噛むことや飲み込むことが上手くできないと喉に詰まらせてしまうこともあるので必ず大人が見守りながら与えてくださいね。
子どもの月齢や離乳食の進み具合に合わせ、焦らず進めていきましょう。
[アレルギーについての注意点]
レシピには、特定のアレルギー体質を持つ場合にアレルギー反応を引き起こすおそれのある食品を含む場合がございます。
また、初めて召し上がるお子さまには注意が必要ですので、様子を見ながら少量から食べさせてください。
[特定原材料] 卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生
[特定原材料に準ずるもの] アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン、 ごま、カシューナッツ
必ず「料理を楽しむにあたって」の「乳幼児への食事提供について」を事前にご確認の上ご利用をお願いいたします。
参考
五十嵐隆(監修)、『授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)実践の手引き』、公益財団法人 母子衛生研究会、2020年
堤ちはる・土井正子編著、「子育て・子育ちを支援する子どもの食と栄養」、萌文書林、2018年
写真提供:ゲッティイメージズ
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