【医師監修】子宮収縮薬(陣痛促進剤)とは?痛みやリスクはあるの? | MAMADAYS(ママデイズ)
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【医師監修】子宮収縮薬(陣痛促進剤)とは?痛みやリスクはあるの?

【医師監修】子宮収縮薬(陣痛促進剤)とは?痛みやリスクはあるの?

陣痛が来ない場合や陣痛が弱い場合に使用する薬、子宮収縮薬。「陣痛促進剤」ともよばれるその薬を使用する目的やリスク、費用などについて解説します。
陣痛が来ない場合や陣痛が弱い場合に使用する薬、子宮収縮薬。「陣痛促進剤」ともよばれるその薬を使用する目的やリスク、費用などについて解説します。

子宮収縮薬(陣痛促進剤)とは

陣痛が来ない場合や陣痛が弱い場合に、人工的に陣痛(子宮の収縮)を起こす薬を「子宮収縮薬」といいます。子宮収縮薬は、分娩誘発を行うときには「分娩誘発剤」、陣痛促進を行うときには「陣痛促進剤」と呼ばれ、同じ薬のことを指します。

分娩誘発は、陣痛が来ない場合に陣痛を起こす目的で行われ、陣痛促進は、陣痛が弱い場合に分娩を促す目的で行われます。

分娩誘発や陣痛促進を行うためには、十分な条件が揃ったうえで、ママと胎児の安全性を確保するための厳重な管理が必要になります。

現在、日本で使われる子宮収縮薬は主に「オキシトシン」と「プロスタグランジン」の二つがあります。

■オキシトシン

オキシトシンは、子宮筋を収縮させて分娩を誘発するホルモンで、点滴によって投与されます。

■プロスタグランジン

プロスタグランジンは、子宮口をやわらかく開きやすい状態にしたり、子宮筋の収縮をおこしたりする作用を持つホルモンです。点滴、または経口・経腟で投与されます。

これらの薬は、適切なタイミングと量の調整が必要です。そのため、ママと胎児の状態を常時確認しながら分娩誘発や陣痛促進が行われます。

分娩誘発について、詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

出産予定日を過ぎたり、破水から時間が経過している場合に行う分娩誘発。どんな流れで行うのか、かかる時間や追加費用、リスクなど、分娩誘発について説明します。

分娩誘発・陣痛促進はどんなときに行われる?

分娩誘発・陣痛促進が必要になるのは、何らかの理由で妊娠の継続がママや胎児にとってリスクとなってしまうときです。

医学的に必要がある場合

  • 妊娠を継続すると母体の負担になるとき

心疾患や腎疾患、妊娠高血圧症候群などの合併症、破水しても陣痛が起こらない、陣痛が弱く分娩が停滞したまま時間が過ぎている、予定日を1週間以上超過している、など。

  • おなかの中の赤ちゃんに問題が起こったとき

子宮内環境の悪化による発育停止、子宮内感染、母体に比べて赤ちゃんが大きく成長しすぎている(このまま成長が続くと赤ちゃんが産道を通過できなくなってしまうリスクが高まる)、など。

社会的・個人的理由の場合

  • ママの希望や医療施設側の体制に合わせるとき(計画分娩)

陣痛がくるのを待つ不安や予定日を超えての焦りが強い場合や、家族の病気などで出産のタイミングを待てない場合、自宅から病院まで時間がかかる場合、などが挙げられます。

あるいは出産後の赤ちゃんに治療が必要な場合、小児科医や専門医の待機やNICU(新生児集中治療室)の準備などの十分な管理体制下で分娩を行うために使われる場合もあります。

  • 無痛分娩を行うとき

無痛分娩時、いきみにくかったり、陣痛が弱い場合。

子宮収縮薬が効きやすい・効かない人はいる?

子宮収縮薬は、妊娠週数や投与前の子宮収縮の程度、子宮頸管の状態などによって効きやすさが異なるため、少量ずつ様子を見ながら投与します。

子宮収縮薬を使用した場合の痛みやリスクは?

普通の陣痛よりも痛い?

痛みの感じ方は人それぞれですので、子宮収縮薬を使った場合と使わなかった場合の痛みの差をはっきりと表すことは難しいです。

万が一、子宮収縮薬の量が不適切な場合、陣痛が強くなったり頻回となることがあります。そうならないように、胎児の心拍や陣痛の強さをモニタリングしながら子宮収縮薬の量が調整されます。そのため、医師や看護師などのスタッフの配置、設備、緊急時の体制が整っている病院で実施されます。

リスクはある?

分娩誘発や陣痛促進の際、子宮収縮薬(陣痛促進剤)として使われるオキシトシンやプロスタグランジンは、どちらも体の中で分泌され、作用するホルモンです。危険な薬剤ではありませんが、人によって効きやすさも異なります。

  • ママへの影響は?

過剰投与によって陣痛が強くなりすぎる「過強陣痛」が起きることがあります。その状態が続くと、子宮破裂、分娩後出血(産後の子宮収縮がうまくいかない状態)などを引き起こすリスクがあります。

  • 赤ちゃんへの影響は?

子宮収縮薬による過強陣痛で、赤ちゃんに負担がかかることがあります。

これらのリスクを避けるため子宮収縮薬は、

  • 分娩監視装置(赤ちゃんの心拍と陣痛の強さを測る装置)を用いてママと赤ちゃんの状態をモニタリングしながら医師の管理の下で使用すること

  • 妊婦さんには子宮収縮薬を使うメリットとリスクを十分に説明してから使用すること

とされています。

子宮収縮薬の費用、保険は適用される?

健康保険は適用される?

保険適用については、正常分娩であるか・異常分娩であるかによって変わります。

正常分娩の場合は健康保険が使えないため、費用は全額自己負担となり、分娩費用は入院費を含めて平均で約50万円になります(医療機関により異なります)。健康保険に加入していれば「出産育児一時金」で、ある程度賄うことができます。

出産育児一時金については、「出さなきゃ損!届け出だけでもらえるお金【出産育児一時金】【専門家監修】」の記事を参考にしてみてください。

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今回は「出産育児一時金」についてご紹介します。

子宮収縮薬を安全な出産に導くために予防の目的で使用した場合や、社会的・個人的理由で使用したケースでは正常分娩とされ、健康保険は適用されません。正常分娩の費用に、誘発分娩に必要となった費用が増えると考えましょう。

使用する薬剤自体の価格(薬価)は数百円〜数万円ですが、処置や管理が必要になるため、その分の費用が加算されることが多いです(施設により金額の設定が異なります)。

一方、帝王切開や吸引分娩などのように、医師が病気と認めて診療を行った場合には異常分娩とされ、保険が適用されます。したがって、妊娠高血圧症候群や前期破水など、医学的な必要があって子宮収縮薬を使用したケースでは、子宮収縮薬を用いた分娩誘発・陣痛促進が健康保険の適用になる場合があります。

ここに注意!

健康保険が適用になる場合も、出産にかかる費用すべてが保険適用になるわけではないので、通常の分娩費用に誘発分娩の金額(保険適用あるいは自費)が上乗せされると考えましょう。その額は医療機関や超過した入院日数などによっても変わってきます。

医療保険は適用される?

民間の医療保険に加入している場合、帝王切開や吸引分娩・鉗子分娩などの医療行為を介した出産は医療保険の給付対象になることがあります。加入している保険の内容によって保障対象になるかどうかが変わりますので、保険証券や「ご契約のしおり(定款・約款)」を確認するか、加入している保険会社に問い合わせてみるとよいでしょう。

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子宮収縮薬(陣痛促進剤)は基本的には安全な薬剤で、ママと赤ちゃんの安全を守るために使われます。ただし、リスクもゼロではありません。メリットとリスクをきちんと知ったうえで、医師と相談して決めましょう。

参考:

・「産婦人科診療ガイドライン 産科編2020 」(編集・監修 日本産婦人科学会/日本産婦人科医会)

・医療情報科学研究所(編)、『病気がみえる vol.10 産科 第4版』、株式会社メディックメディア、2018年

・「 出産に際して知っておきたいこと」(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター)

・「薬学用語解説 プロスタグランジン」(公益社団法人日本薬学会)、2020年11月閲覧

・富士製薬工業 プロスモン注 【用法用量】

・「プロスタグランジンE2錠 6用法及び用量」(科研製薬)、2020年11月閲覧

・「日産婦誌60巻6号 陣痛誘発 3)陣痛促進薬(表 D-11-3,D-11-4)」

a)オキシトシン

・「日産婦誌61巻10号「異常分娩の管理と処置」」

・「正常分娩分の平均的な出産費用について(平成28年度)」(公益社団法人 国民健康保険中央会)

写真提供:ゲッティイメージズ

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