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【管理栄養士監修】離乳食を食べない赤ちゃん、月齢別の原因や進め方は?

【管理栄養士監修】離乳食を食べない赤ちゃん、月齢別の原因や進め方は?

「赤ちゃんが離乳食を食べない」と、悩んでしまうママ・パパは決して少なくありません。どの赤ちゃんにも効果がある方法はありませんが、今回は、月齢別によくある原因と対策について紹介します。赤ちゃんの個性や発達に合わせた柔軟な対応ができるヒントになるかもしれません。
「赤ちゃんが離乳食を食べない」と、悩んでしまうママ・パパは決して少なくありません。どの赤ちゃんにも効果がある方法はありませんが、今回は、月齢別によくある原因と対策について紹介します。赤ちゃんの個性や発達に合わせた柔軟な対応ができるヒントになるかもしれません。

離乳食を食べない赤ちゃんにイライラ・ストレスを感じてしまう

離乳食を食べないと悩むママやパパは約6割

赤ちゃんが離乳食を食べないと、ママやパパは不安になったり、イライラしてストレスがたまってしまうこともありますよね。

厚生労働省の調査(平成27年度乳幼児栄養調査)では、0〜2歳児の保護者の約75%が離乳食について困りごとを抱えていると答えています。その中でも「食べる量が少ない」「食べものの種類が偏っている」「食べるのを嫌がる」という回答は、合わせると全体の約6割となっています。

このことから、赤ちゃんが離乳食を食べないと悩むママやパパが多いことがうかがえますね。

離乳食を食べない!赤ちゃんが泣く理由は?

離乳食中や食後に赤ちゃんが泣く理由はさまざま

赤ちゃんが離乳食を食べない、食後に泣く理由はさまざまです。たとえば、離乳食中に赤ちゃんが泣いてしまうのは以下のようなことが考えられます。

  • 母乳、ミルクが先に飲みたい
  • おなかが空いていない
  • 眠い
  • 椅子に座りたくない、抱っこしてほしい
  • 離乳食の形状が食べづらい
  • 離乳食が熱い、冷たい
  • 自分で食べたい など

必ずではありませんが、離乳食のあとに赤ちゃんが泣いているのは以下のようなことが考えられます。

  • 量が足りない
  • 食べる作業に疲れた
  • 眠い
  • 自分だけが先に食べ終わったのが嫌
  • 椅子から下されるのが嫌
  • とにかく機嫌が悪い など

以下の記事で、赤ちゃんが離乳食中や食後に泣いてしまうときの原因や対応について書いています。ぜひ参考にしてみてください。

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離乳食の途中や食後に子どもが泣いてしまい、理由が分からず困ったことはありませんか?考えられる、よくある理由を紹介します。

離乳食中に赤ちゃんが泣くのはよくあること

離乳食の途中やあとに赤ちゃんが泣くことは全く珍しいことではありません。多くのママやパパが経験していることなので、焦らなくても大丈夫です。

ただし、普段と違って母乳やミルクも嫌がったり、いつもと様子が違うなと感じたときや不安なときは医療機関に相談しましょう。

ゴックン期・離乳初期(生後5〜6ヶ月頃)に離乳食を食べないとき

舌で押し出してしまうのは「哺乳(ほにゅう)反射」かも

ゴックン期・離乳初期(生後5〜6ヶ月頃)の赤ちゃんが、反射的にスプーンや食べ物を舌で押し出してしまうようであれば、「哺乳反射」が残っていることが考えられます。

哺乳反射は、赤ちゃんが生まれたときから備え持つ、乳首を口に取り込むための生理的な反応です。大脳の発達とともに減っていき、生後5~7ヶ月頃になくなります。

哺乳反射が弱くなってからもスプーンを嫌がることが多い場合は、スプーンの大きさや素材が赤ちゃんの口に合っていないことも考えられます。スプーンの大きさは、赤ちゃんの口の幅より狭いものを選ぶようにしてみましょう。

離乳食を与えるときは、スプーンの先端部分に食べ物をすくい、赤ちゃんの下唇に軽くのせ、上唇で取り込むのを待ちます。口を閉じたらスプーンを水平に引き抜くようにします。

スプーンを上唇や上あごに押し付けると、練習にならないので気をつけましょう。

離乳食のスプーンについては以下の記事も参考にしてください。

はじめは飲み込みやすいポタージュ状がおすすめ

ゴックン期・離乳初期(生後5〜6ヶ月頃)の離乳食は、飲み込みやすいポタージュ状のものがおすすめです。赤ちゃんが食べ物の舌触りに慣れ、飲み込みやすいように、ポタージュ状のペーストから始めます。

徐々に水分量を減らして、ジャムのようなポテっとした形態にしていきます。

モグモグ期・離乳中期(生後7〜8ヶ月頃)に離乳食を食べないとき

この時期の赤ちゃんには「ムラ食い」が見られる

モグモグ期・離乳中期(生後7〜8ヶ月頃)の赤ちゃんには、「昨日はよく食べたのに今日は食べてくれない」といった「ムラ食い」がよく見られます。

ムラ食いの原因として考えられるのが

  • 赤ちゃんの知能が発達してきて様々なことに興味を持ち食事中に気が散ってしまう
  • 食べたい気分でない
  • おなかが空いていない

などです。

大人にも食欲の波があるように、赤ちゃんにも波があります。赤ちゃんの様子をよく観察し、焦らず気長に進めていきましょう。

また、モグモグ期・離乳中期(生後7〜8ヶ月頃)では1日2回食で食事のリズムをつけていくようにします。空腹と満腹のリズムをつくるようにしたいですね。

つぶ状に慣れていなければ前の状態に戻ってもOK

赤ちゃんが裏ごしをしていない、つぶの残った食感を嫌がるときは、前の状態に戻っても問題ありません。離乳食の進み具合は赤ちゃんに合わせて行きつ戻りつを繰り返してもOK。

裏ごしをしていない状態のものは好きな食べ物からスタートすることや、とろみをつけることでも食べやすくなります。

モグモグ期・離乳中期(生後7〜8ヶ月頃)では、つぶした食べ物をひとまとめにする動きを覚え始めます。赤ちゃんが飲み込みやすいように、水溶き片栗粉でとろみをつけてあげるとよいですね。

カミカミ期・離乳後期(生後9〜11ヶ月頃)、パクパク期・離乳完了期(1歳〜1歳6ヶ月頃)に離乳食を食べないとき

歯の生え方や口腔の機能に個人差がある時期

カミカミ期・離乳後期(生後9〜11ヶ月頃)になると、舌と上あごでつぶせないものを、歯ぐきの上でつぶすことを覚えていきます。前歯が生えるにしたがって、前歯でかじりとって一口の量を学習していきます。

パクパク期・離乳完了期(1歳〜1歳6ヶ月頃)になると、奥歯が生え始め、食べ物を歯ぐきで噛んだり歯を使ったりして食べるようになっていきます。

ただし歯の生える時期や口を動かす機能の発達には個人差があるので、離乳食は赤ちゃんに合わせた固さや大きさにしてあげましょう。

もし赤ちゃんが口から食べ物を出すときは、固過ぎることが多いです。

離乳食はカミカミ期・離乳後期(生後9〜11ヶ月頃)では指でつぶせるバナナぐらいの固さ、パクパク期・離乳完了期(1歳〜1歳6ヶ月頃)では肉団子ぐらいの固さが目安です。

離乳食が薄味で食べない場合も

離乳食では味付けは薄味にし、食品の持つ本来の味を知らせていきます。

ただし味覚の発達が進むカミカミ期・離乳後期(生後9〜11ヶ月頃)、パクパク期・離乳完了期(1歳〜1歳6ヶ月頃)では、薄味で食べない場合も。

この時期になると塩やしょうゆ、味噌、ケチャップ、砂糖、酢などの調味料を少量から使うことで、メニューにも変化が出てきます。

調味料を使い始める前に、まずは、かつおぶしや青のり、すりごまなどの風味のある食材を離乳食に混ぜることで食べるようになる場合もあるので試してみましょう。

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おなかが空いていないことが原因の場合も

赤ちゃんが離乳食を食べない原因のひとつに、おなかが空いていないこともあります。

カミカミ期・離乳後期(生後9〜11ヶ月頃)、パクパク期・離乳完了期(1歳〜1歳6ヶ月頃)では、1日3回食の食事リズムにしていきます。空腹と満腹のリズムをつけるようにしましょう。

食事の前には体をたくさん使った遊びをするなどして、規則的な食事のリズムをつけましょう。

離乳食のおかゆを食べないときのアイディア

離乳食のおかゆを食べないときは、やわらかさ・固さを変えてみましょう。

つぶが残っていたりするのが飲み込みづらい場合や、ベタベタのおかゆが苦手なことも考えられます。今食べさせているものよりもやわらかくしてみたり、逆に固めにして与えてみるのもいいでしょう。

おかゆに食材をちょい足しする工夫をしてみるのも手です。風味や味が変わると、食が進むかもしれません。

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風味や味が変わるとよく食べるようになるかもしれません。

離乳食の野菜:たとえばにんじん、ほうれん草を食べないとき

にんじんを青臭く感じているかも?

赤ちゃんがにんじんを食べないのは、青臭さを感じている場合も考えられるかもしれません。

そんなときは一手間かけて、にんじんをじっくりゆでてみましょう。ゆでることで青臭さが和らぎます。加熱時間を長くすることでにんじんの甘みが引き立ちやすくなりますよ。

最近は品種改良が進んで、くさみがなく甘みのあるにんじんがほとんどですが、にんじんが青臭いかも?というときなどに、ぜひ試してみてください。

ほうれん草の苦味に驚いているのかも?

赤ちゃんが離乳食を食べないときは、ほうれん草の苦味に驚いているのかもしれません。

今まで母乳やミルクなどの甘みを中心に味わっていた赤ちゃんが、慣れない苦味にびっくりしてしまうのは自然なことです。

じゃがいもやかぼちゃなど、少し甘みのある野菜などと混ぜることで食べやすくなります。どうしても嫌がる場合は無理に与えず、日にちをあけて再度試してみましょう。

離乳食の肉・魚を食べないとき

赤ちゃんが離乳食の肉や魚を食べない場合は、水分量や固さ、飲み込みにくさ、パサパサ感、においなどが原因となることも多いです。

まずは赤ちゃんの月齢に合う種類を与えているかを確認しましょう。月齢ごとに食べられる種類が異なります。

以下の記事で月齢別の対策例を紹介しています。

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初めての育児の中でも、特に離乳食は負担に感じやすいものです。赤ちゃんが思うように食べてくれないとついイライラしてしまうこともあるかもしれません。今回の記事がそんなママ・パパのストレスを少しでも減らして、赤ちゃんと離乳食を楽しむヒントになればうれしいです。

いろいろ試した! それでも全く離乳食を食べないとき

食欲には個人差があるので心配し過ぎない

ここまで月齢別にいろいろな情報や工夫をお伝えしてきましたが、子どもによっては「何をやっても離乳食を食べない」という時期もあります。

食欲には個人差があるので心配し過ぎる必要はありません。赤ちゃんのペースに合わせた離乳食で、食べる楽しさを伝えてあげましょう。

赤ちゃんの月齢ごとの食べ方はあくまでも目安です。

赤ちゃんの体重が増えない、減っているときは医師に相談

離乳食をずっと食べない場合は、一人で悩まずに地域の子育て支援センターや保健所、保健センターなどで管理栄養士に相談してみましょう。

赤ちゃんの体重が増えない・減っている場合は小児科医に相談してください。

なかなか思い通りにはいかないのが育児です。成長には個性があるという基本を忘れずに、楽しい雰囲気や赤ちゃんの気持ちを尊重しながら過ごしていきたいですね。

  • ある調査では赤ちゃんが離乳食を食べないと悩むママやパパは約6割
  • 赤ちゃんが離乳食を食べる量には個人差があるので心配し過ぎない
  • 赤ちゃんの体重がなかなか増えなかったり減っているときは医師に相談

写真提供:ゲッティイメージズ

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