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離乳食のガイドラインはどんなもの?2019年改定版の変更点は?

【管理栄養士監修】離乳食のガイドラインはどんなもの?2019年改定版の変更点は?

離乳食を安全に進めるための基準として「授乳・離乳の支援ガイド」というものがあります。2019年に12年ぶりに改定され情報が新しくなりました。今回の記事では離乳食のガイドラインとはどういうものなのか、どの部分が見直され変更になったのかを紹介します。
離乳食を安全に進めるための基準として「授乳・離乳の支援ガイド」というものがあります。2019年に12年ぶりに改定され情報が新しくなりました。今回の記事では離乳食のガイドラインとはどういうものなのか、どの部分が見直され変更になったのかを紹介します。

離乳食のガイドラインって何?どんなことが書かれているの?

離乳食のガイドラインは「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」というものが厚生労働省から公開されています。

これは、「妊産婦や子どもに関わる保健医療従事者向けに、授乳や離乳の支援に関する基本的な内容」をまとめたものです。

離乳食について記載された部分では、離乳食の開始の目安、離乳食の進め方、離乳食の食材の種類と組み合わせ、離乳食の調理形態と調理方法、食物アレルギーについてや、ベビーフードを活用するときの留意点についてなどの内容がまとめられています。

「授乳・離乳の支援ガイド」このガイドラインは必要に応じて見直しがされ、現在は2019年改定版が最新のものになります。

WHO(世界保健機関)でも離乳食のガイドラインが策定されていますが、国によって生活環境などが大きく違うため、日本では厚生労働省の定めた「授乳・離乳の支援ガイド」を使うことが主流です。

離乳食のガイドラインに関する本は出ているの?

厚生労働省のホームページから「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」ガイドラインを見ることはできますが、こちらは前述のとおり、妊産婦や子どもに関わる保健医療従事者向けに書かれたものです。

厚生労働省から出版されている『授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)実践の手引き』という本もありますが、こちらも同様に妊産婦や子どもに関わる保健医療従事者向けに書かれているため、気軽に読むには少し難しい内容かもしれません。

本屋などで手に入る、離乳食について書かれているママ・パパ向けの育児書やレシピ本などには、「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」に対応と書かれているものも多く販売されているので、本を選ぶときの基準の一つにするとよいかもしれません。

当サイト「MAMADAYS」の離乳食のレシピ動画や記事の情報も、「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」を参考にして管理栄養士監修の下で作られているので、安心してご覧いただけます。

離乳食のガイドライン2019年改定版の変更点はなに?

「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」で変更されたポイントで、子育て中のママ・パパに関わる部分を確認していきましょう。

離乳食の進め方・摂食機能の目安を記載

離乳食の進め方の目安の表(「授乳・離乳の支援ガイド 」p34)に、月齢だけでなく、離乳初期・中期・後期・完了期という表現が加わりました。

また、進み具合に影響する「歯の萌出の目安」「摂食機能の目安」の2項目が加わりました。

離乳食の進み具合は個人差が大きく、表に記載された内容に関しては「あくまでも目安であり、子どもの食欲や成長・発達の状況に応じて調整する」という記載も加わっています。

さらに、表の下部に注意事項として、「衛生面に十分に配慮して食べやすく調理したものを与える。」という記載が追加されました。

乳児用液体ミルクに関する情報

2018年8月に「特別用途食品の許可基準」という基準が改正され、乳児用液体ミルクの国内製造・販売が開始されました。

乳児用液体ミルクは一般的な粉ミルクと同じ成分ですが、調乳・滅菌済みの状態で紙パックや缶などの容器に入っているため半年~1年ほど常温保存ができます。

常温で長期保存ができ、調乳する必要がなく、開封して哺乳瓶に入れたり各メーカーの液体ミルク専用の乳首をつけるだけですぐに飲むことができるため、日常生活以外に災害時の備蓄食品としてストックしておくこともできます。

食物アレルギーに関する情報

離乳食のガイドライン2019年改定版では「卵」を初めて与える時期の目安を、以前の平成7年版では生後7~8ヶ月頃からと記載していたものを生後5~6ヶ月頃へと変更しました。

離乳の開始や特定の食べ物を食べ始める時期を遅らせても、食物アレルギーの予防効果になる科学的根拠はなく、少しずつ食べ物に慣らすことで食物アレルギーを予防できると考えられるようになってきたためです。

イオン飲料に関する情報

イオン飲料(スポーツドリンク)は、基本的に摂取する必要はないとの記載が加わりました。

体によいイメージを持つママ・パパもいるかもしれませんが、塩分・糖分を多く含み、肥満や虫歯の原因になることが懸念されます。習慣的な使用は控え、下痢・嘔吐・発熱などがある場合は医師に相談の上、使用を検討しましょう。

こちらも参考にしてください。

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鉄・ビタミンDの摂取に関する情報

従来のガイドラインでは母乳育児の場合、赤ちゃんに必要な栄養素のうち鉄が不足する時期は生後9ヶ月以降とされていましたが、生後6ヶ月の時点で鉄やビタミンDの不足が生じやすいとの報告があることが記載されました。

このことから母乳育児を行っている場合は、生後5〜6ヶ月頃の適切な時期に離乳を開始し、鉄やビタミンDを含む食品を離乳食の進み具合に合わせて意識して取り入れていくことが重要だという内容が記載されています。

また、ビタミンDに関しては食べる量だけではなく、体で使われるよう活性化させるため、適度な日光浴も推奨されています。

鉄のとり入れ方について、詳しくはこちらの記事も参考にしてください。

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乳児ボツリヌス症に関する情報

従来のガイドラインにも乳児ボツリヌス症予防について記載されていましたが、国内で初めて死亡事例が発生したことを受け、正常な腸内細菌叢が作られる1歳を過ぎるまではちみつを与えないよう明記し、乳児ボツリヌス症に関する情報も記載されました。

詳しくはこちらの記事を参考にしてみてください。

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管理栄養士のひとこと

離乳食のガイドラインの内容には離乳食に関する目安や基準を記載している項目もありますが、これらはあくまでも目安であり子どもの食欲や成長・発達の状況に応じて調整するようにとも記載されています。

赤ちゃんの成長には個人差があるので、著しく差がなければ様子を見ながら離乳食を進めてみlさい。不安がある場合は行政の子育て支援センターや医師・管理栄養士・保健師などの専門家へ相談してみて下さいね。

参考:「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版) 」(厚生労働省)

写真提供:ゲッティイメージズ

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