【医師監修】妊娠中の胎盤のトラブル|「常位胎盤早期剥離」 | MAMADAYS(ママデイズ)
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妊娠中の胎盤のトラブル|「常位胎盤早期剥離」

【医師監修】妊娠中の胎盤のトラブル|「常位胎盤早期剥離」

妊娠中は突然、思いもよらぬトラブルが起こる事があります。その一つが、胎盤が赤ちゃんがうまれたあとではなく、まだ赤ちゃんが胎盤を必要とする早い段階ではがれてしまう「常位胎盤早期剝離」です。ごくまれな病気ではありますが、その症状や経過などについてみてみましょう。
妊娠中は突然、思いもよらぬトラブルが起こる事があります。その一つが、胎盤が赤ちゃんがうまれたあとではなく、まだ赤ちゃんが胎盤を必要とする早い段階ではがれてしまう「常位胎盤早期剝離」です。ごくまれな病気ではありますが、その症状や経過などについてみてみましょう。

胎盤とは

胎盤の役割は?

胎盤は、血管の束の集まりでできており、胎盤からのびている臍帯(さいたい=へその緒)で胎児とつながっています。胎盤には、下記のような役割があります。

  • 妊娠を維持するホルモンを分泌する
  • 胎児へ酸素を送る
  • 胎児へ栄養を送る
  • 胎児の老廃物を回収する

胎盤は、胎児が出生したあと役割を終えてはがれて外に出ます。これが通常の剥離(はくり)のタイミングです。早期剥離とは、まだ胎盤が赤ちゃんとお母さんをつなぐ役目が必要な時に剥がれてきてしまう病気の状態で、ママとおなかの赤ちゃんに悪影響を与える現象です。

胎盤の大きさは?

胎盤は、妊娠15週頃には子宮内に超音波でよく観察できるようになり、胎児と一緒に少しずつ大きくなっていきます。産まれる頃には直径が約15cm~20cmの楕円から円盤状の大きさ、厚みは約3cmから厚い部分は約5cmくらいになります。

胎盤の位置は?

正常な胎盤の位置は、子宮の中の子宮口より遠くにあり、子宮口より離れています。この状態を「常位胎盤(じょういたいばん)」とよびます。

一方、正常ではない胎盤の位置には「前置胎盤(ぜんちたいばん)」「低置胎盤(ていちたいばん)」とよばれる状態があります。

胎盤の位置が低く、子宮口を胎盤が覆っている状態を「前置胎盤」、同じく胎盤の位置が低い位置にあるが、子宮口を覆っていない状態が「低置胎盤」です。

常位胎盤早期剥離

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正常な位置にある胎盤(常位胎盤)が、なんらかの原因で胎児の出生より前に子宮からはがれてしまう状態を「常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)」といいます。

常位胎盤早期剥離は、全分娩の中でも0.5%~1.3%という確率で、ごくまれな症状です。そのため過度に不安になる必要はありません。

ただし、常位胎盤早期剥離になると胎児に酸素や栄養が届かなくなり、はがれた部分からの出血で、ママと胎児共に危険な状態になる恐れがあります。そのため、一刻も早い対応が必要です。

常位胎盤早期剥離の原因は?

常位胎盤早期剝離の原因は、はっきりとした理由はわかっていませんが、発症の要因については下記があげられます。

妊娠高血圧などの病気による発症

常位胎盤早期剥離を発症する要因の一つに「妊娠高血圧症候群」があげられます。妊娠高血圧症候群とは、妊娠20週以降に高血圧がみられる病気です。ママと胎児の命をおびやかす、さまざまな合併症を引き起こします。

ほかにも、陣痛が来る前に破水した状態(前期破水)や胎児と羊水を包んでいる卵膜に炎症が起きている状態(絨毛膜用羊膜炎:じゅうもうまくようまくえん)などが、常位胎盤早期剥離の発症のリスクになります。

転倒などのトラブル

交通事故や転倒などで腹部には特に怪我がなくとも、外から力が加わった場合、胎盤がはがれてしまう場合があります。事故に遭ったり、転倒した場合、直後に症状がなくても、数時間後に症状が現れるケースも見受けられます。数時間からおよそ一日は注意して様子を観察しておくことが必要です。

性器出血や、持続する腹痛があればもちろんですが、腹部に強い力がかかったなどの場合は受診しましょう。

常位胎盤早期剥離の症状は?

常位胎盤早期剥離の症状には、どのような症状があるのでしょうか?

初期症状

常位胎盤早期剥離の初期症状は、切迫早産の症状とよく似ています。

  • 性器出血

子宮から胎盤がはがれると、子宮の中に出血が起こります。月経(生理)時のように、性器出血が少量みられる場合もありますが、体の外への出血がみられない場合もあります。外への出血がみられないときでも、子宮の中で出血が広がっていることがあります。

  • おなかの張りや痛み、腰痛

おなかが板のように固く張り、下腹部に痛みを感じる場合があります。

痛みではなく「おなかが重い」という場合や、おなかは強く張らないものの腰痛を感じる場合もあり、おなかの張り具合や痛みの出方には個人差があります。

症状がほとんどなく、気づかないうちに胎盤の剥離が進行している場合もあるため、「いつもとなにか違う」というママの直感が大切です。

症状が進行するとどうなる?

胎盤の剥離が進行すると、子宮内では出血がさらに増えていきます。そのため、下記のような症状が見られます。

  • 血圧の低下
  • 貧血の進行
  • 脈拍の増加
  • 胎児の心音の異常

さらに進行すると、ショック症状や全身の血管で、血栓と呼ばれる微小な血の塊が多発し、出血症状(播種性血管内凝固症候群:はしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん)が起こる場合があり、母子共に非常に危険な状態となります。

常位胎盤早期剥離は、急激に悪化することが多いです。ただし、胎盤がはがれる面積が少なく、症状が緩やかな場合もあります。

早急な対応が必要!

発症することはまれですが、常位胎盤早期剥離は、母子共に危険な状態になるため、徴候が見られた場合は一刻も早く病院で治療を受けることが必要です。

どんな病気でどんな症状が出るのか、どんな対応が必要なのかを覚えておくと、もしものときに安心です。

胎盤のトラブルについて詳しくはこちらの記事も参考に!

胎盤に関するトラブルは、ほかにもいくつかあります。詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

胎盤は、子宮内の赤ちゃんに酸素や栄養を送る重要な臓器です。
妊娠中のトラブルのひとつに、正常な位置にあるにも関わらず胎盤が突然妊娠中に剥がれてしまう「常位胎盤早期剥離」があります。
胎盤の役割と常位胎盤早期剥離について産婦人科医の大柴先生にお伺いしました。
胎盤が子宮底でなく子宮口付近に認められます。出血に注意。
妊娠中は突然、思いもよらぬトラブルが起こる事があります。その一つが、胎盤が赤ちゃんがうまれたあとではなく、まだ赤ちゃんが胎盤を必要とする早い段階ではがれてしまう「常位胎盤早期剝離」です。ごくまれな病気ではありますが、その症状や経過などについてみてみましょう。

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妊娠中、いつもと違うと感じたときは、思わぬ病気の恐れがあります。胎児とママの危険を回避するためにも、違和感があれば、すぐに病院に連絡し、医師の診察を受けましょう。

参考:

・医療情報科学研究所(編)、『病気がみえる vol.10 産科 第4版』、株式会社メディックメディア、2018年

・岡井 崇、綾部 琢哉(編集)、『標準産婦人科学 第4版』医学書院、2011年

写真提供:ゲッティイメージズ

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