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産後のむくみはなぜ起こる?

【医師監修】産後のむくみはなぜ起こる?

妊娠中のマイナートラブルとして悩むママが多い「むくみ」。
ところが産後にもむくみがひどくなり驚くママも少なくありません。
多くは生理的なもので、少しずつ改善しますが中には病気が原因のこともあります。
この記事では、産後のむくみについてお伝えします。
妊娠中のマイナートラブルとして悩むママが多い「むくみ」。
ところが産後にもむくみがひどくなり驚くママも少なくありません。
多くは生理的なもので、少しずつ改善しますが中には病気が原因のこともあります。
この記事では、産後のむくみについてお伝えします。

「むくみ」とは?

体内の水分のバランスが崩れる

妊娠するとママの体はおなかの赤ちゃんに栄養を送ったり、出産による出血に備えたり、妊娠前よりも血液の量が多くなります。

出産で血液や羊水などママの体から水分が一気に失われると、ママの体は水分を体にためこもうと働きます。その結果むくみが生じやすくなるとされています。

むくんでいるからといって水分を控えず十分にとり、体内の水分バランスを整えることが大切です。

母乳の分泌のため水分を取り込もうとする働きによる

産後、ママの体は母乳を作るようになります。

母乳分泌のため、体に水分をためこむように働きます。

妊娠中のむくみに関しては以下の記事を参考にしてみてください。

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妊娠後期になり、脚のむくみに悩まされているひともいるのではないでしょうか。むくみの原因や、体重の増加との関係、解消法などについて説明します。

産後のむくみはいつまで?

個人差があるが産後1〜2ケ月で徐々に改善

個人差はあるものの、産後のむくみのピークは産後2日前後とされています。

産後1〜2ケ月で少しずつ改善します。

産後のむくみの解消法

弾性(だんせい)ストッキングを履く

弾性ストッキングとは弾力性のあるストッキングのことで、足を圧迫し血流を改善する医療用のストッキングをいいます。

市販の着圧ソックスは軽いむくみや、美容の面で利用されています。

より強いむくみの改善や静脈血栓塞栓症の予防には、医療用の弾性ストッキングが用いられます。

ただしサイズが合っていないと、効果がなかったり、逆に血流に異常をきたしたりする可能性があります。使用の際は医師や助産師に相談してみるとよいでしょう。

マッサージをする

血液やリンパを流すように、足首から膝にかけて下から上に優しくマッサージをします。

足を少し高くして寝る

寝るときは枕やタオルを使用して足を少しだけ高くします。

静脈の血液が心臓に戻るのを助けます。

産褥(さんじょく)体操をする

座ったまま、立ったままなどの同じ姿勢が続くことで足がむくみやすくなります。

適度に体を動かすことが大切です。

産褥体操は、産後のママの体の回復を助けるために行い、血液の循環をよくする目的もあります。

出産後十分に休息をとり、医師や助産師の許可を得てから開始しましょう。

出産した施設で方法を教えてくれるケースもあります。

産褥体操のやり方については以下の記事も参考にしてください。

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赤ちゃんの抱き方、おむつ替え、授乳などの説明のほかに、産後のママのからだのケアアドバイスもあります。

塩分を控える

塩分を多く取りすぎると体はむくみやすくなります。麺類のスープは控えたり、減塩しょうゆを利用したりするなど控えめを心がけましょう。

産後のむくみ、こんなときは注意。医師に相談

産後のむくみは生理的なもので、誰にでも起こる可能性があります。

ただし病気が原因でむくみが生じるケースもあるため、以下のようなときは医師に相談しましょう。

産褥(さんじょく)血栓塞栓症の場合

産後は一時的に出産による出血に備えて、血液が固まりやすくなります。

そのため血栓(血液のかたまり)ができやすくなっています。

深い静脈で血栓が生じ、肺の動脈に血栓が詰まってしまうと生命に関わることもあります。

・片方だけの異常な足のむくみ

・ふくらはぎの痛み

・血管が異常に浮き出ている

・胸の痛み

・息苦しさ、などがあるときには医師に相談しましょう。

妊娠高血圧症候群

産後3〜6日では血圧が一時的に高くなります。赤ちゃんのお世話も始まり休息が取りにくくなることも影響します。妊娠前から血圧が高いママはより注意が必要です。

血圧が高くなり、心臓や腎臓に負担がかかっているときにもむくみが生じることがあります。

むくみのほかに頭痛が生じたり、尿の量が減っていたりするなど異常を感じるときには必ず医師に相談しましょう。

まとめ

産後のむくみは生理的なもので、少しずつ改善してきます。必要以上に心配することはありません。

ただし、産後は静脈血栓塞栓症や、血圧が高くなりやすいことも事実です。

片方の足だけの異常なむくみや、気になる症状を伴う場合は医師や助産師に相談しましょう。

参考:

国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 妊娠と高血圧 (2021年5月11日閲覧)

・「ペリネイタルケア」2016.vol35.no8、(メディカ出版)

写真提供:ゲッティイメージズ

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