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【医師監修】陣痛中でも胎動は感じる?激しい胎動は陣痛の兆候?

陣痛中でも胎動は感じる?激しい胎動は陣痛の兆候?【医師監修】

陣痛の兆候として、おしるしや前駆陣痛などがありますが、赤ちゃんの激しい胎動を感じる人もいます。陣痛前や陣痛中の胎児は、激しく動けるのでしょうか? 詳しくみてみましょう。
陣痛の兆候として、おしるしや前駆陣痛などがありますが、赤ちゃんの激しい胎動を感じる人もいます。陣痛前や陣痛中の胎児は、激しく動けるのでしょうか? 詳しくみてみましょう。

陣痛と胎動の違いは?

陣痛は、自分の意思では調節できない、子宮の収縮が繰り返し起こる状態をいいます。10分おきに収縮する時点が陣痛開始となります。この子宮の収縮によって胎児が押し出され、赤ちゃんが生まれます。腰やおなかの痛みが周期的に訪れ、だんだん強くなっていくのが特徴です。

胎動は、胎児がママのお腹の中で動くことをいいます。妊娠週数、胎児の向きや位置、羊水の量、胎児の状態などによっても差がみられます。動き方は、ママの体の内側をぐりぐりと押すように動く場合や、おなかを蹴られる場合、全身で激しく動く場合、でんぐり返しをする場合などさまざまです。

胎児の動きによって、胃のあたりを蹴られたり、膀胱を押されたりすると、ママが痛みを感じることもありますが、休んでいるうちにママの症状はたいてい落ち着きます。

陣痛と胎動はまったく別のものですが、妊娠・出産を経験しないと味わえない特別な現象であることや、ママ自身でコントロールしようがないというところは同じです。

陣痛中、胎動はある?

陣痛中は、胎児の頭が骨盤にはまっていくため、動きが制限されます。そしてなにより、陣痛の激しい痛みで、ママが胎動を感じる余裕もなくなることでしょう。

陣痛の痛みは、ママの腰やおなかに決まった間隔で訪れるという特徴があります。陣痛の合間に胎動を感じることがあるかもしれませんが、頭が固定されているため、胎児が激しく動くのは難しいでしょう。

激しい胎動は陣痛の兆候?痛みは?

個人差はありますが、一般的に、出産直前は胎動が控え目になることが多いです。出産前には、胎児の頭がママの骨盤の中にはまっていくため、あまり激しい動きはできなくなります。

胎動以外に、陣痛の兆候として知られているのが、下記の4つです。

  • おしるし(産徴・さんちょう)

陣痛前にみられる、血液の混じったおりものです。産徴(さんちょう)とも呼ばれます。
おしるしの数時間後に陣痛が始まる場合もあれば、出産予定日から1週間経っても陣痛がこない場合もあります。人によっては、おしるしがないまま陣痛が始まる場合があり、量や時期もまちまちです。

  • 前駆陣痛(ぜんくじんつう)

出産が近づくと、間隔の不規則なおなかの張りが起こります。これは、本番の陣痛に向けて子宮筋が準備運動を行っている状態で、前駆陣痛と呼ばれます。
この不規則な前駆陣痛から、おなかの張りや痛みが10分間隔になると、陣痛開始です。しかし、中には痛みが遠のいてなくなることがあり、前駆陣痛だったという場合もあります。

  • おりものの増加

出産時に胎児が産道を通りやすいように、潤滑材の役割となるおりものの増加がみられます。

  • 恥骨の痛み

恥骨は、おへそから下に下りていくと触れる骨で、左右の骨盤をつなぐじん帯(恥骨結合)があります。この部分がゆるむことで、胎児が骨盤を通り抜けられるのですが、そのゆるみによってじん帯や筋肉が引っ張られ、痛みが出る場合があります。また、胎児の頭が圧迫することで、恥骨あたりに痛みが出る場合があります。

出産前に胎動がまったくないのは正常?異常?

出産が近づくと、胎動が少なくなるという話を耳にされたことはありませんか? 出産前には骨盤内に胎児の頭が下がってはまっていきます。そのため、動きが制限され、胎動が少しずつ減る傾向にあります。しかし、胎動がまったくなくなることはありません。

胎児が10回動くのにかかる時間(胎動10カウント)は、10~30分程度といわれていますので、その時間内に胎動が10回あるか毎日数えてみましょう。しゃっくりや、はっきりしない動きはカウントせず、はっきりとわかる胎動だけを数えます。

もし、10回動くのにいつもよりも時間がかかる場合や、動きが弱い場合には、健診日でなくても病院に連絡することが大切です。
病院では、超音波検査やNST(胎児の心拍とおなかの張りをチェックする検査)などが行われ、胎児の状態を確認してくれます。
胎動は胎児の元気さを表していますので、胎動10カウントはぜひ毎日行いましょう。

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陣痛の前兆は人によって異なります。
しかし、もし胎動が前日よりも少ない、弱い、ほとんどないということがあれば、すぐに病院に連絡しましょう。胎動はママだけが感じられる胎児からのメッセージです。なんだかいつもと違うというママの感覚は、胎児のいのちを守ります。
受診してなにもなければ、それはそれでよかったとなりますので、気になることがあれば我慢せず医師に相談しましょう。

参考:

・医療情報科学研究所(編)、『病気がみえる vol.10 産科 第4版』、株式会社メディックメディア、2018年

・「出産に際して知っておきたいこと」(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター)

写真提供:ゲッティイメージズ

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