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【医師監修】妊娠初期のレントゲン検査は大丈夫?受けてしまった場合の影響や妊娠中の注意点を解説

【医師監修】妊娠初期のレントゲン検査は大丈夫?受けてしまった場合の影響や妊娠中の注意点を解説

レントゲン検査は、整形外科や歯科だけでなく、さまざまな診療科で行われているポピュラーな検査です。

診断に必要な検査とはいえ、妊娠初期に放射線にさらされるとおなかの赤ちゃんへの影響が心配ですよね。

レントゲン検査を受けたあとに妊娠していることが分かったり、怪我や病気でレントゲン検査が必要になったりした際に、放射線の影響が不安になった人もいるのではないでしょうか。

この記事では、妊娠初期にレントゲン検査を受けたときの赤ちゃんへの影響や、妊娠中に検査を受ける際の注意点を解説します。レントゲン検査の影響を不安に感じているママはぜひ参考にしてください。

レントゲン検査は、整形外科や歯科だけでなく、さまざまな診療科で行われているポピュラーな検査です。

診断に必要な検査とはいえ、妊娠初期に放射線にさらされるとおなかの赤ちゃんへの影響が心配ですよね。

レントゲン検査を受けたあとに妊娠していることが分かったり、怪我や病気でレントゲン検査が必要になったりした際に、放射線の影響が不安になった人もいるのではないでしょうか。

この記事では、妊娠初期にレントゲン検査を受けたときの赤ちゃんへの影響や、妊娠中に検査を受ける際の注意点を解説します。レントゲン検査の影響を不安に感じているママはぜひ参考にしてください。

妊娠初期にレントゲン検査を受けてしまったけど大丈夫?

妊娠初期のレントゲン検査は大丈夫?受けてしまった場合の影響や妊娠中の注意点を解説

妊娠初期から後期まで、時期問わず妊娠中にレントゲン検査を受けても問題はありません

基本的にレントゲン検査で被ばくする量は極めて微量。赤ちゃんに影響はないので、必要な検査は心配せずに受けてかまいません。しかし、検査が必要になった際は、医師に妊娠中であることを忘れずに伝えておきましょう。

通常の検査では胎児に影響が出る被ばくはない

おなかの赤ちゃんに影響が出るとされるのは、「胎児が直接X線を受けた場合」かつ「放射線量が100mSvを超える場合」です。

多くのX線診断検査において100mGy以上の線量を超えることはほとんどありません

※mSv(ミリシーベルト):放射線が人体に及ぼす影響を表すための放射線量を表す値

※mGy(ミリグレイ):人体や物質が放射線から吸収したエネルギー量を示す値。便宜上1Gy=1Svで計算されます。また、私たちは普段から微量の放射線にさらされています。

宇宙から0.3mSv、食物から0.99mSvなど、日本の自然放射線による年間線量は平均2.1mSvあるとされています。

医療機関で行う検査での被ばく線量はこれよりもさらに少ない量です。

放射線や被ばくと聞くと赤ちゃんへの影響が心配されますが、一部の放射線治療などを行わない限り、胎児に影響が出る被ばくは起こりません。

放射線検査による被ばく線量

  • 胸部X線検査(1回):0.06mSv

  • バリウム検査:3mSv

  • マンモグラフィ:0.05mSv~0.15mSv

  • 歯科撮影:0.01mSv~0.03mSv

  • CT撮影:5mSv~30mSv

  • 胸部CT検査(1回):2.4mSv~12.9mSv

  • 核医学検査(アイソトープ検査):0.5mSv~15mSv

  • PET検査:2mSv~10mSv

参考1:環境省「身の回りの放射線 放射線検査による被ばく線量
参考2:社団法人 東京都歯科医師会「歯科治療のX線撮影は安全です! 放射線と歯科X線撮影のお話

妊娠前に両親が放射線被ばくを受けていても胎児には影響なし

両親のどちらかが、妊娠する前に放射線に被ばくしていたとしても、それによって赤ちゃんのがんや奇形が増えるという科学的な根拠はありません

妊娠前の検査で生殖器官に放射線を受けた場合、卵子や精子への影響を心配する人もいるかもしれません。

しかし、赤ちゃんへの影響について科学的な根拠は示されていないため、妊活中も必要な検査は受けて問題ありません。

胸部や四肢などのX線検査では胎児はほとんど被ばくをしていない

ママの胸や手足のX線検査では、撮影する場所にだけX線を当てています。

そのため、おなかの中の赤ちゃんにX線が当たることはなく、被ばくの心配はありません

歯科治療におけるレントゲン撮影も同様に、赤ちゃんへの被ばくはないと考えてよいでしょう。

通常のX線検査による奇形・障害の発生リスクは自然発生率以下

X線が原因で、生まれてくる前に亡くなったり(流産・死産)、奇形や精神発達障害になる確率が高まることはありません

また、胎児が受けた放射線量が100mGy以下のケースにおいて、放射線起因の小児がんや白血病のリスクは、人工的な放射線被ばくがなかった子どもと比べても発生率はほとんど差はありません。

このことからも、妊娠中にレントゲン・X線検査を避けたり、赤ちゃんへの影響を過度に心配したりする必要はないでしょう。

しきい値を超えて被ばくした場合の赤ちゃんへの影響

しきい値を超えて被ばくした場合の赤ちゃんへの影響

胎児に一定のしきい値を超える被ばくがあった場合、がんや遺伝的な影響が出ることが指摘されています。ただし、影響を受けるレベルの放射線に被ばくすることは稀なので、日常生活で心配することはありません。ここからは、妊娠初期から出産までに被ばくした場合の影響を解説します。

着床前期(受精後8日間)

受精後8日間の着床前期に被ばくした場合、死亡しなければ(流産にならなければ)被ばくの影響なく育つことが多いです。この時期のしきい値は0.1Gy(100mSv)です。

器官形成期(受精後9日~妊娠8週目まで)

受精後9日~妊娠8週目までを器官形成期といいます。この期間にしきい値を超えて被ばくすると、奇形になることがあります。器官形成期のしきい値は、0.15Gy(150mSv)となります。

胎児期(妊娠8週目~出生まで)

受精後8週目から生まれてくるまでを「胎児期」といいます。胎児期にしきい値を超えて被ばくすると、精神発達遅滞(知的障害)が出ることがあります。この時期のしきい値は、0.2Gy~0.4Gy(200mGy~400mGy)です。

被ばく線量の目安として、100mSv(0.1Gy)という値は原子力や放射線を取り扱う作業者が5年間に追加被ばくする線量の限度とされている値です。

100mSvや150mSvという値は、通常の検査や一般的な生活をしていれば、まず被ばくすることがない線量です。

通常の胸部レントゲン検査の被ばく量は約0.06mGy、CT検査は5mGy~30mGyなので、複数回これらの検査を受けたとしても、しきい値を超える被ばくを受けるケースはほとんどないと考えてよいでしょう。

日本は世界で唯一の被爆国であり、また、最近の大震災の悲惨な状況を経験しているため、私たちは「放射線」、「放射能」という言葉に敏感です。検査による被曝は目に見えないというのも不安を助長する一因かもしれません。
医療検査に用いる放射線量は一回の検査ではしきい値を随分下回ること、また、自然界で生活する以上多少の放射線を常に浴びているという事実も理解し、正しい知識をもとに検査のリスクを判断されると宜しいでしょう。
また、その検査は妊娠中どうしても行わなければいけないのか、放射線を用いない他の検査で代用することは可能か、主治医の先生とよく相談することも重要です。
荒瀬透先生
荒瀬透先生
産婦人科

妊娠中のレントゲン・X検査に関するよくある質問

妊娠初期にレントゲン検査を受けてしまった際のよくある質問

ここでは妊娠初期にレントゲン検査を受けてしまった際のよくある疑問をご紹介します。気になる点を解消しましょう!

妊娠中にレントゲン検査を受けたら授乳できなくなる?

  • 放射性物質が体の中に残ることはないので問題なく授乳できます

    妊娠中にレントゲン検査を受けたとしても、放射性物質が体の中に残ることはありません。 したがって、母乳の中に放射線物質が混ざることもないので、問題なく授乳できます。

妊娠中のレントゲン検査が原因で赤ちゃんががんや白血病になることはある?

  • レントゲン検査が原因でがんや白血病になることは極めてまれです

    通常のレントゲン検査での被ばく線量はごくわずかなので、レントゲン検査が原因でがんや白血病を発症することは極めてまれです。胎児が受けた放射線量が100mGy以下のケースにおいて、放射線起因の小児がんや白血病のリスクは、人工的な放射線被ばくがなかった子どもと比べても発生率はほとんど差はありません。

妊娠中にレントゲン検査を受けてしまったら、中絶したほうがよい?

  • レントゲン検査を受けたからといって中絶する必要はありません

    レントゲン検査を受けたからといって中絶する必要はありません。 ICPR(国際放射線防護委員会)はPublication 84(1999年)で「妊娠中絶をするのに100mGy(0.1 Gy)未満の胎児線量を理由にしてはいけない」と勧告しています。 レントゲン検査での被ばくを理由にした中絶は、医療的な正当性が認められていません。

歯や足、胸・肺のレントゲン検査は胎児に影響するの?

  • 胎児の被ばくはごくわずかで影響はありません

    歯や足、胸、肺のレントゲン検査は、限られた部位にX線を当てるため、胎児にX線があたることはありません。 おなかの赤ちゃんはほとんど被ばくしないので、影響はありません。

妊娠前や妊娠中にレントゲン検査を受けてしまったとしても心配しないで

妊娠前や妊娠中、とくに妊娠初期にレントゲン検査を受けてしまったママのなかには、「おなかの赤ちゃんに影響がないか心配」「本当に大丈夫なの?」と心配な人もいるでしょう。

しかしレントゲンなどの検査で被ばくする線量は、極めて微量です。赤ちゃんに影響が出るとされるしきい値よりもずっと少ない量なので、影響が出ることはありません。医師に「レントゲン検査をしましょう」といわれたときは、妊娠していることを伝えた上で、安心して検査を受けてくださいね。

  • 妊娠初期にレントゲン検査を受けても問題ない
  • 赤ちゃんに影響が出るとされるしきい値は100mGy~400mGy
  • 代表的な検査の被ばく量は0.002mSv~12.9mSvと微量
  • 検査の前には念のために医師に妊娠していることを伝えて
  • 必要な検査はきちんと受けよう

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