生理並みの出血と妊娠の関係は？着床出血の症状や生理との違いを解説

妊活中の女性が気になることのひとつが、「生理があったのに妊娠している可能性はあるのか」についてではないでしょうか。

妊娠したら生理は起こりません。

生理とは、月経とも呼ばれます。妊娠しなかったときに子宮内膜が血液とともに剥がれ落ち、体外に排出される生理現象です。

妊娠したら、妊娠の状態を継続させるために子宮内膜は剥がれてはならないので、生理は始まらず生理に伴う出血も起こらないのです。

そのため、いつも通りの生理が来た場合は「妊娠は成立していない」と考えるのが一般的です。

生理が来たら妊娠はしていません。

しかし、生理並みの出血が起こったあと、妊娠が判明するケースがあります。それは、その出血が妊娠初期に起こる「着床出血」だった場合です。

ここからは、着床出血について解説します。

ここからは妊娠初期に見られる着床出血のメカニズムや起こる時期、量や色などについて解説します。

着床出血は、受精卵が子宮内膜に着床する際に起こる出血です。

受精卵が子宮内膜に着床する際に、小さな血管の一部が破れることによって引き起こされます。

出血の量はごく少量で、生理とは異なる色をしているのが特徴です。

着床出血は、妊娠したすべての女性が経験するわけではありません。着床出血を経験するのは、4人に1人より少ないと言われています。

着床とは、受精卵が細胞分裂を繰り返しながら子宮へ移動し、子宮内膜へ根を張ることです。

このとき、子宮内膜は受精卵を受け止めるためにふかふかのベッドのような状態になっています。

受精卵ができてから着床するまでは約12日とされていて、着床が完了したら妊娠が成立したことになります。月経周期が28日の人であれば、着床が成立した時点で妊娠3週とされています。

着床すると、ホルモンバランスの変化から体に様々な変化がでます。

「おりものに変化が出る」「風邪のような症状が出てだるい」などの症状がでる人もいるでしょう。

通常の生理と異なる症状が複数出る場合は妊娠の可能性を考えてみましょう。

この時期に感じるお腹がチクチク痛む症状を着床痛と呼ぶことがありますが、着床痛に医学的な根拠はありません。

ちょうど着床したあたりのタイミングで痛みを感じる女性が多いことから、「チクチクした痛みは着床のサイン」と考えられているようですね。

着床出血のメカニズムについて解説しましたが、着床出血の量は具体的にどのくらいなのでしょうか。生理並みの出血量はあるのか、詳しく解説します。

着床出血の量は、少量であることが多いです。

多くの女性は、出血がほとんどないかごくわずかでしょう。

例えば、トイレで簡単に拭き取れる、生理用ナプキンではなくおりものシートで対応できるくらい、といった程度の量です。

一方で、まれに着床出血が生理並みの出血量だったという人もいるようです。

タイミングが似ていることから、着床出血が生理と区別がつきにくく、悩んでしまうかもしれません。生理並みの出血があった場合でも、妊娠の可能性は依然として考えられます。

また、出血量が多い場合は、妊娠や生理ではない病気が原因の可能性も考えられます。早めに病院やクリニックを受診しましょう。

着床出血は一般的に、量と同じく色も生理とは異なるとされています。

鮮血のような赤、ピンク色や薄い茶色、おりものに血が混ざったような淡い赤色などが代表的です。

さらっとしている、またはおりもの程度の粘度であることが多いですが、個人差があります。

着床出血は通常、「妊娠初期」と呼ばれる妊娠3～4週目に発生しやすく、多くの場合、次の生理予定日よりも早い時期に出血が確認されます。

着床出血が起こる時期（妊娠初期）と生理予定日が近いこともあり、出血があった際に「妊娠の兆候？それとも生理？」と悩む方が多いようです。

着床出血を経験する人は4人に1人、全体の20～30％程度とされています。

そのため、妊娠を経験したほとんどの女性が、着床出血は起こらなかったということになります。

着床出血が起こることの方が珍しく、起こったとしても「あれが着床出血だったの？」と確信が持てない人もいるほど気づきにくいです。

起こる確率が低いことや、気づかないこともあるため、着床出血がなくても体に異常があるものではないので心配しなくてもよいでしょう。

着床出血が続く期間は、1～2日、長くても3～4日程度で出血が止まる場合が多いようです。

着床出血は、子宮内膜が傷つくことで起こる出血なので短期間で止まります。生理のように長期間出血が続くことはありません。

ここからは、着床出血と生理の違いを、色・量・痛みの3つに分けて比較します。

「これって着床出血？」と気になった時の参考にしてみてくださいね

着床出血の色は、「鮮血のような赤」、「ピンク色や薄い茶色」、「おりものに血が混ざったような淡い赤色」など人によってさまざまです。

一方、生理の出血（経血）は赤から暗褐色が一般的に多いとされています。

着床出血は少量であることが多く、ショーツが汚れる程度やティッシュで拭き取れる程度です。

生理の場合は少量ではなく、ドロッとした血の塊が出ることがあります。着床出血では、血の塊が出ることはありません。

生理は量が増えていき3～7日程度続きますが、着床出血は量が増えずに1～2日で出血が止まるのも見分けるポイントのひとつです。

着床出血と生理は、痛みの違いでも見分けられます。

着床出血に伴う痛みを感じることは少なく、痛む場合も軽度で期間は短く、1日でおさまる人もいるようです。

一方で生理による痛みは個人差があるものの、強い痛みを感じる人も少なくありません。「月経困難症」と呼ばれる生理痛で、日常生活を送るのが難しいほどの痛みを感じる人もいます。

生理痛は腹痛以外にも、腰痛や頭痛、下痢などの症状が出ることもあります。着床出血と見分ける際のポイントとして覚えておきましょう。

生理や着床出血以外にも出血をすることがあります。

生理だと思っていたら病気だったという場合もあるので、生理ではない出血の可能性があったら医療機関を受診しましょう。

受精卵が子宮内膜に着床することで妊娠が成立します。

しかし、受精卵は子宮内膜以外に着床することがあり、「異所性妊娠」と呼びます。「子宮外妊娠」とも呼ばれ、多くは卵管に着床する「卵管妊娠」です。

異所性妊娠が起きると、出血や下腹部に鈍い痛みを感じる人もいます。

妊娠した際に胎盤を作る「絨毛細胞（じゅうもうさいぼう）」が異常に増殖し、ブドウやイクラのように子宮の中に充満していく病気です。

出血や腹痛、つわり（吐き気）のような症状が現れます。

胞状奇胎は手術や定期的な通院が必要ですが、担当医から許可が下りたら次の妊娠に進めます。胞状奇胎は、次の妊娠や出産に影響が出ることはないとされています。

流産とは、妊娠の早い段階で赤ちゃんが亡くなってしまうことです。妊娠22週より前に妊娠が終わることを「流産」といいます。

流産が起きると出血や腹痛が起きる場合があります。

妊娠とは関係のない出血が起こる場合もあります。

月経以外に性器から出血が起こることを「不正出血」といい、不正出血には妊娠以外の原因も多く含まれています。

病原菌の感染や子宮内膜炎などの炎症によるものや、月経異常などのホルモン異常によるもの、良性の腫瘍によるものなどさまざまです。

なかには、悪性腫瘍（子宮頸がんや子宮体がん）による不正出血が起こる場合もあります。不正出血には重大な病気が潜んでいることもあります。ためらわずに産婦人科を受診しましょう。

妊活中に、着床出血がみられた場合、妊娠検査薬で妊娠の有無を確認してみましょう。

ここからは、妊娠検査薬の使い方やタイミング、陽性／陰性だった場合にすべきことを解説します。

妊娠検査薬は尿をかけて妊娠を判定します。

尿の中のhCG（ヒト絨毛性ゴナドトロピン）というホルモンを感知し、妊娠の有無を判定するためです。

人は妊娠すると胎盤のもととなる絨毛が作られ始め、そこからhCGが分泌されます。そのhCGが尿中に出始める妊娠3〜4週に妊娠検査薬を使うと、妊娠の判定ができる仕組みです。

通常の検査薬は生理予定日1週間後から使用できますが、早期妊娠検査薬は1週間より早く判定できます。

確実性は、通常の妊娠検査薬のほうが高いとされていますが、ご自身の状態や気持ちに合うほうを選びましょう。

妊娠検査薬で陽性が出たら、産婦人科を受診します。

受診は早すぎても、心拍が確認できず妊娠確定とならないこともあります。

最後の生理の初日から数えて6週目くらいを目安に受診するのが良いでしょう。月経が2週間遅れたタイミングです。

受診当日は保険証やナプキン、あれば基礎体温をまとめた表などを持参すると良いでしょう。触診や内診があるので、脱ぎ着しやすい服装で行くのがおすすめです。

着床出血とみられる出血があったのに、妊娠検査薬を使ったら陰性だったケースがあります。

着床出血は、妊娠3～4週目に起こることが多いとされ、この時期は妊娠検査薬で反応が出る前の時期です。

妊娠検査薬の使用は、生理予定日の1週間後以降（最後の生理初日から数えて6週目くらい）がベストなので、着床出血があっても少し待ってから妊娠検査薬を使いましょう。

また、生理予定日の日数計算が正しくない、生理周期が不規則な場合も陰性となります。適切なタイミングで使用しましょう。

出血量が多い場合やお腹が強く痛むなど、出血以外の症状がある場合はすぐに病院を受診してください。

妊娠検査薬の陽性・陰性に関わらず、出血や腹痛は何かの病気や危険な状態のサインかもしれません。

自己判断せず病院で診察を受け、適切な検査や治療を受けましょう。

妊娠初期に起こる出血は着床出血の可能性があることや、着床出血の症状や生理との見分け方について解説しました。

着床出血はそのタイミングから、生理の出血かどうかの判断が難しいかもしれません。着床出血と生理の出血は、色や量などに違いがあるので覚えておくと判断材料のひとつとなるでしょう。

不正出血が実は病気のサインだった、という可能性もあります。通常の生理ではない出血があった場合は、自己判断せず早めに医師へ相談しましょう。

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