トモニテ
「母乳神話」の深い意味なんて、考えたこともなかった。

【放送作家・鈴木おさむ】「母乳神話」の深い意味なんて、考えたこともなかった

芸人の森三中 大島美幸さんの夫で、放送作家として活躍する鈴木おさむさん。子供が生まれたタイミングで放送作家業をお休みし、育児に向き合ってきました。鈴木さんがつづる父親目線の育児記『ママにはなれないパパ』から、日本全国のパパ・ママへ送るメッセージをご紹介します。
芸人の森三中 大島美幸さんの夫で、放送作家として活躍する鈴木おさむさん。子供が生まれたタイミングで放送作家業をお休みし、育児に向き合ってきました。鈴木さんがつづる父親目線の育児記『ママにはなれないパパ』から、日本全国のパパ・ママへ送るメッセージをご紹介します。

 息子、笑福が2015年6月22日に生まれ、それから5日後、妻と息子は退院し、鈴木家に新たな家族として笑福がやってきました。妻のお母さんも一カ月、完全アシスト。

 妻は色んな人から退院後、「大けがをした後だと思って、絶対ゆっくりしなきゃダメだよ」と言われていました。出産とはそのくらいのことだと。

 笑福が家に来た初日。僕は仕事があり、家に帰ると、お母さんと妻がミルクを飲ませていました。目の前で子供が産まれるところを見たと言っても、正直、自分に子供が出来たという現実感があまりない。

 リビングでは生まれたばかりの子供が泣いていて、妻とお母さんが慌ただしくしている。昨日までと全く違う光景が繰り広げられていることについていけてない感じがする。

 これって、おそらく旦那さんあるあるなのではないかと思う。

 出産後、入院している間に、妻は助産師さんに母乳の出し方を教わっていた。病院にいる間に、母乳がちょっと出るようになって、飲ませることが出来ていたので、安心している自分がいた。だが、家に帰ってきての初日。助産師さんのアシストがないと、うまく母乳を出せず、息子も乳首をくわえてくれない状況になった。なんとか母乳を飲ませたいと思う妻ですが、思うようにいかず、お母さんがミルクを作って飲ませた。

 初日の夜、噂(うわさ)通り、2時間ほどたつと、息子は起きて大声で泣く。叫ぶという感じだろうか。

 僕が深夜にお風呂から出てくると、寝室で妻が一人泣いていた。手元に息子の姿がない。リビングでお母さんが泣いてる息子にミルクを飲まそうとしてあやしている。息子が泣くのはわかるが、なぜに妻が泣いてるのか。しかも人が悲しんだ時に見せる大粒の涙を流している。なぜに泣くのか、理由を尋ねると。「自分が情けない」「笑福に申し訳ない」と言っている。息子が母乳を求めて泣いているのに、母乳を出すことが出来ない。息子にうまく吸わせることが出来ずに、泣いている息子を見たら申し訳ない気持ちでいっぱいになり、涙が溢(あふ)れてきたというのだ。母親として、息子にやるべきことが出来てないという悔しさ、寂しさ、悲しさ。これ、あとから聞いたら、同じ体験をしたママが何人もいて驚きました。

 僕は出産したら母乳なんて簡単に出ると思っていた。あるタレントが、子供を産んだ後にテレビで「私は完全母乳で育てました」と発言するのを聞いて、「完全母乳」の何がそんなにすごいのかと思っていた。そしてそのテレビ放送後、そのタレントが自慢げに完全母乳ですと言ってたことをネットで批判するママが沢山いることも知った。なぜに完全母乳と発言したことが叩かれるのか?

 母乳が出ずに、ミルクで育てているお母さんもいるが、そういうお母さんの多くは、母乳が出ないことで悩んで葛藤しているのだと知った。仕事の都合で母乳で育てることが出来ない人がいることも知った。僕はそんな母乳の基礎知識も知らなかったし、母乳かミルクかで悩んでいる人が沢山いるなんて知らなかった。これって、子供がいない男性はかなりの確率で知らないことだと思う。

 子供がいる旦那さんでも、母乳で悩む母親の悩みを知らない人が結構いる。

 母乳問題が母親にとってそれだけ繊細で悩めることだということを最初に痛感した。

 しかも、ミルクで飲ませる方が楽だと思ってた僕はまたもや無知。母乳で飲ませるようになれば、おっぱいだけあればいいのだが、ミルク作るのに熱湯入れて、人肌の温度に冷ますためにボウルに氷と水入れてシェイカー気取りでシャカシャカやらなきゃいけないとか、ミルクを飲んだ後の哺乳瓶を、洗って消毒液につけなきゃいけないとか、初めて知った。ということはミルクで赤ちゃんを育てている人は、旅行に行こうとしたらミルク道具一式持っていかなきゃならず、荷物も自然に多くなるのだとか、そんなことも初耳。全てが初体験。

 お母さんは、涙で顔がはれている妻を寝かせる。「とにかく今日は寝なさい」と。その光景を見て、不思議なものだと思う。妻は母になった。だけど、お母さんは母になった妻の母として心配する。

 妻にとってもすべてが初体験。お母さんの力を借りて一歩ずつ母親になっていくのだろう。

 翌日から、一つ変化があった。息子、笑福は夜、放っておくと、8時間ほど寝てしまう子供だった。助産師さんに「途中で起こしてミルクあげなきゃダメですよ」と言われて、驚いていたけど、良く寝るのは息子だけじゃない。母親も産んだあとは過敏になってなかなか寝られないと言うが、寝室をのぞくと、股を開きいびきをかいて口を開いて寝ている妻と、隣で、口を開いて寝ている息子がいた。

 その姿を見て、初めて思ったかもしれない。「親子なんだ」と。息子はまず、母親の素敵な所を真似してくれたようだ。

父の気づき

母乳が出ないこと、その悔しさ寂しさを

男性はもっと理解してあげるべき。

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写真提供:ゲッティイメージズ

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