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【監修】排卵日に起こりがちな症状の変化は?眠気、下痢、胸の張りなどの症状について

排卵日に起こりがちな症状の変化は?眠気、下痢などの症状について【医師監修】

前回の生理開始日から2週間ほどたった頃に訪れるさまざまな不調。眠気が増したり、おなかの調子が良くなかったり、いつもと違う症状に悩んでいる方も多いのでは?これらの症状は「排卵日」と関係している場合があります。排卵日について詳しくみてみましょう。
前回の生理開始日から2週間ほどたった頃に訪れるさまざまな不調。眠気が増したり、おなかの調子が良くなかったり、いつもと違う症状に悩んでいる方も多いのでは?これらの症状は「排卵日」と関係している場合があります。排卵日について詳しくみてみましょう。

排卵日とは

排卵は、卵巣で育った卵胞(卵子の入った袋)が破裂し、腹腔内に飛び出すことをいいます。この排卵が起こる日が「排卵日」です。

通常の28日型の生理周期でいうと、前回生理が始まった日から2週間後になります。そして、排卵日の2週間後から次の生理が始まります。

女性ホルモンに左右され、症状が出る人も

排卵日は、月経周期の中で、最も女性ホルモンやその分泌を促すホルモンの変動が激しい時期です。このホルモンの変動に女性の体は大きく影響されます。個人差はありますが、さまざまな症状が出る場合もあれば、まったく症状のない場合もあります。

排卵日前後のホルモンの変化については、下記の記事の「排卵日前後のホルモンの変化」で詳しく説明しています。参考にしてみてください。

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排卵日に起こりがちな症状

排卵日に起こる症状は個人差が大きく、腰痛や腹痛に悩んだり、性器からの出血がみられたりする場合もあります。

腰痛や腹痛

排卵時期に感じる、おなかや腰の痛み。これは排卵痛と呼ばれる症状です。

排卵時の卵胞の破裂によって、卵胞液や血液が腹膜を刺激することや、ホルモンの変化により子宮が収縮することが原因と考えられています。

性器出血

排卵日前後には、性器からの出血が起こりやすいです。排卵期には卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン )が大きく変動することで子宮内膜が剥がれやすくなり、一時的な出血を起こすことがあります。

そのほかの症状

エストロゲンは自律神経に作用するホルモンで、排卵日前後でホルモンが大きく変動します。自律神経が乱れると、下記のような不調の引き金になります。

  • 異常に眠い
  • だるい
  • 胸が張る
  • 下痢や便秘
  • 吐き気
  • 食欲が出ない

など

排卵日前後の体調不良や症状、対策はある?

排卵日は月1回訪れます。毎月の憂うつな時期を乗りこえる方法は何があるでしょうか。例を見てみましょう。前述したように、自律神経の乱れは不調につながるため、整えることがポイントとなります。

体を冷やさない

自律神経が乱れると、冷えの症状が出る場合があります。冷えは「万病のもと」ともいわれ、さまざまな病気の原因になったり、症状を重くしたります。そのため、自律神経が影響を受けやすい排卵時期は、冷えに注意しましょう。

飲み物は温かいものを選んだり、靴下やひざ掛けを使ったりして、体(特に下半身)を冷やさないようにして過ごしましょう。

できれば、シャワーだけで済まさず湯舟に浸かりしっかり温まるのもいいですね。湯温は39~40℃くらいのぬるめのお湯がおすすめです。

血流をよくするための軽い運動

運動は血行をよくし、自律神経を整えるのにも最適です。激しい運動をするのではなく、ストレッチやヨガ、ウォーキングなどの有酸素運動が効果的とされています。

ストレス解消し、自律神経を整える

自律神経を乱す原因の一つにストレスがあります。排卵時期はそれでなくても自律神経が影響を受けやすいので、ストレスと上手に付き合うことがポイントです。

ストレスの原因を遠ざけられない場合は、上手に解消することが大切です。たとえば、控えていたケーキやスイーツの解禁日にする、友人と食事に行く、好きな音楽や好きなアロマを楽しむなど、ストレスを上手に発散できる何かを準備しておくといいかもしれません。

こんな症状に注意

排卵時期の出血や腹痛が全て問題のないものというわけではありません。

排卵時に一時的に傷ついた卵巣から出血が続く場合もあります(卵巣出血)。また、気づかず妊娠していて、流産や異所性妊娠(子宮の内膜以外で受精卵が成長している状態)が進行している可能性もあります。

排卵時期に出血を繰り返す場合は、子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮がんなどの病気が原因の可能性もあります。

排卵時期に激しい腹痛をともなう場合や、持続したり繰り返す性器出血がある場合は、産婦人科を受診しましょう。

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排卵日の症状が重い場合には、普段の生活に影響が及ぶこともあるでしょう。

そんな場合には、我慢せずに産婦人科を受診してみることも大切です。特に婦人科検診を1年以上受けていない場合は、この機会に一度受診することをおすすめします。

参考:

・医療情報科学研究所(編)、『病気がみえる vol.10 産科 第4版』、株式会社メディックメディア、2018年

・武谷雄二・上妻志郎・藤井知行・大須賀穰(監修)、「第3版プリンシプル産科婦人科学②産科編」、メジカルビュー社、2017年

・岡井 崇、綾部 琢哉(編集)、『標準産婦人科学 第4版』医学書院、2011年

・「ナーシング・グラフィカ 母性看護学② 『母性看護技術』仰臥位低血圧症候群」(メディカ出版)

・「最新版 はじめての妊娠・出産 安心百科」(主婦と生活社)

・安達知子(監修)、「はじめてのママ&パパの妊娠・出産」(主婦の友社)、2018年

・「妊婦健診 Q&A」(厚生労働省)、2020年11月閲覧

・「ヨガ」(e-ヘルスネット 厚生労働省)、2020年11月閲覧

・「特集 女性医学:最近のトピックス PMS,PMDDの診断と治療 他科疾患との鑑別」(昭和学士会誌 第77巻 第4号)

写真提供:ゲッティイメージズ

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