妊娠中に柿を食べてもいい?
昔から「柿が色づくと医者が青くなる」といわれるほど栄養価の高い「柿」。結論からいうと、妊娠中に柿を食べても問題はありません。
1日3食ずっと柿しか食べないというのは栄養面の偏りから避けたほうがいいですが、適量を守ればさまざまな栄養素を補給できる優れた果物です。
妊娠中に果物を食べるときのメリット・デメリット
柿を含め、妊娠中に果物を食べるメリット・デメリットをご紹介します。
メリット
妊娠中には、妊娠前よりも多くの栄養を摂ることが必要です。
特にビタミン類は、お腹の中の赤ちゃんの成長・発達に必要なほか、病気の予防などの効果も期待できます。
厚生労働省が推進している「妊産婦のための食事バランスガイド」には、主食、副食、主菜、副菜、牛乳・乳製品に続いて果物の項目も入っており、食品をバランスよく食べることが奨められています。
デメリット
果物は甘さの元になる糖質が多く含まれています。そのため、果物の食べすぎはエネルギーの摂りすぎに繋がり、妊娠中の急激な体重増加を引き起こす可能性があります
妊娠中の目標体重よりも急激に体重が増えてしまうと、難産を引き起こしたり、妊娠高血圧症候群(妊娠中に高血圧になった状態。重症化すると母子の命に関わる)、出産時の出血量が多くなるなど、母体のリスクが高くなります。そのため、適量を守り食べすぎないことが大切です。
干し柿は食べてもいい?
干し柿も適量であれば食べても問題ありません。
柿を干し柿にすると、ビタミンCは減少しますが、カロテンは約2倍に増え、食物繊維も豊富になります。柿に含まれる食物繊維は焼き芋の約4倍も含んでいるので、便秘改善にも効果的なことも。
ただし、小さい干し柿1個でも、生の柿1個を食べたのと同じエネルギーがあります。たくさん食べるとエネルギーの摂りすぎに繋がるため、食べる量には注意しましょう。
どのぐらいの量なら食べてもいい?
妊娠中は、妊娠初期と妊娠中期以降で果物の適量が変わってきます。厚生労働省の「食事バランスガイド(※)」を参考にすると、妊娠初期なら下記の果物2単位分、妊娠中期~授乳期なら果物3単位分が1日の適量です。
<果物1単位の各分量>
柿:1個(干し柿1個程度)
みかん:1個
りんご:半分
梨:半分
ぶどう:半房
桃:1個
果物を食べるときは、生の分量を参考にします。干し柿等の、ドライフルーツを摂る時は量が多くならないようにしましょう。
たとえば、妊娠初期ならみかん2個、妊娠中期ならりんご1個と桃1個という組み合わせが1日の適量になります。
1日の中で食事と一緒に食べたり、15時の間食などで食べるようにしましょう。
※「妊産婦のための食事バランスガイド 」(厚生労働省)、2020年7月閲覧
妊娠中に果物を食べるときの注意点
果物は基本的には「生」でそのまま食べることが多いでしょう。生のまま食べる食品で気になることの一つが、食中毒の存在ではないでしょうか。
食中毒の予防の為に、まず果物の調理や手づかみで食べる時はしっかりと手を洗います。
果物は新鮮なものを選び、食べる前にしっかり洗いましょう。
そして、皮をむいたり、切ったりする包丁・まな板は清潔なものを使用することが大切です。
生肉や生の魚介類などを切った包丁やまな板をよく洗わないで、次に果物を切ることは、絶対避けましょう。生肉や魚介類、卵などを扱ったあとも手をよく洗ってから果物を触るようにしましょう。
また、毎日使用する、まな板や包丁などの調理器具はよく洗う事が基本ですが、必要に応じて煮沸や食毒液で消毒を行い、器具の衛生管理にも注意していきましょう。
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柿を始め、果物には妊娠中に欠かせない栄養素が多く含まれています。また、その甘さや風味は四季折々の楽しみでもありますね。ぜひ、適量を守りつつ、季節の味覚を楽しみましょう。
参考:
「妊産婦のための食事バランスガイド 」(厚生労働省)、2020年7月閲覧
「第2章 日本食品標準成分表PDF(日本語版) 」(文部科学省)、2020年7月閲覧
写真提供:ゲッティイメージズ
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