【医師監修】孫の世代まで影響?妊娠前からの体づくり、プレコンセプションケアとは? | MAMADAYS(ママデイズ)
MAMADAYS(ママデイズ)
孫の世代まで影響?妊娠前からの体づくり、プレコンセプションケアとは?

【医師監修】孫の世代まで影響?妊娠前からの体づくり、プレコンセプションケアとは?

将来の妊娠を考え、妊娠前から知識をつけておくことは、本人だけでなくおなかの赤ちゃんの将来の健康にまで影響を与えるといいます。
今回は近年広まりつつある、プレコンセプションケア(妊娠する前からのケア)について産婦人科医の吉村泰典先生にお話を伺いました。
将来の妊娠を考え、妊娠前から知識をつけておくことは、本人だけでなくおなかの赤ちゃんの将来の健康にまで影響を与えるといいます。
今回は近年広まりつつある、プレコンセプションケア(妊娠する前からのケア)について産婦人科医の吉村泰典先生にお話を伺いました。

プレコンセプションケア とは?

「プレコンセプションケア(Preconception Care) 」は、「pre」は「〜より前の」、

「conception」は「受胎」で、つまり、「妊娠する前からのケア」という意味です。

現在日本では、妊娠して初めて婦人科や産婦人科を受診するという女性が少なくありません。

妊娠しにくさから、初めて不妊外来を訪れる女性や、カップルもいます。そうして初めて自身の体や妊娠、出産について学ぶことが多いのです。

内容や程度に差はありますが、出産したママからは、「妊娠する前にこうしておけばよかった……」「知っていればこうしていたのに……」という声が聞かれることも。

将来の妊娠に備えて、「改善しておけること」や「改善したほうがよいこと」を知り、日常生活に取り入れることがプレコンセプションケアであるとされています。

プレコンセプションケア のはじまり

2000年代にアメリカで、早産や低出生体重児などの問題が、妊娠前のママの体の状態や環境が大きく関わっていることがわかりました。そこで、妊娠前からのケアが重要だと考えられるようになりました。

2012年には、世界保健機構(WHO)が本格的にプレコンセプションケアをすすめています。

日本では2015年に、東京都内の病院に初めて、「プレコンセプションケアセンター」が設立されました。専門の医師や管理栄養士によるカウンセリング、妊娠を希望するカップルの検診、妊娠や出産に関わる相談などが行われています。

プレコンセプションケアはなぜ必要?

プレコンセプションケアが必要な理由は大きく分けると2つあります。

赤ちゃんの将来の健康状態に影響する

ひとつは「妊娠、出産の問題は赤ちゃんの将来の健康状態に影響する」ということでです。

たとえば妊娠前のママの体格が「低体重(やせ)」や、「ふつう」の場合に、妊娠中の体重増加が7kg未満であると、低出生体重児を出産しやすいという報告があります。

低出生体重児として小さく生まれた赤ちゃんは、将来生活習慣病にかかるリスクが高いとされています。これはおなかの中で栄養素が不足していたことが原因です。栄養が不足している状況に対応しようと、遺伝子が変化して太りやすくなり、糖尿病や高血圧になりやすくなるためです。

さらにはその低出生体重児として生まれた赤ちゃんの次の世代にも、その素因が受け継がれる可能性があるという報告があります。

妊娠前や妊娠中のママが無理なダイエットをすると赤ちゃんの将来の健康に影響し、さらにはその次の世代にも影響するということになります。

妊娠前から持っているリスクが妊娠、出産と赤ちゃんに影響

もうひとつは「妊娠前からのママの体にあるリスクが、妊娠、出産と赤ちゃんに大きく影響する」ということです。

ママがもともと抱えている病気や、飲んでいた薬、肥満、お酒、タバコ、葉酸の摂取不足などが妊娠中のママの病気につながったり、おなかの赤ちゃんに影響を与えたります。

おなかの赤ちゃんの臓器は、ママが妊娠に気がつく頃には基礎となる部分ができあがっています。そのため妊娠を希望した場合、それらのリスクを取り除いておくことが重要です。

たとえば、妊娠前からビタミンBのひとつである「葉酸」を積極的にとることで、おなかの赤ちゃんの脳や脊髄となる「神経管」の閉鎖に障害が起こるリスクを減らせることがわかっています。

また持病を抱えているママは、医師と相談しておなかの赤ちゃんに影響の少ない薬に変更しておくことができます。リスクについて知っていれば前もって予防できることがあります。

プレコンセプションケアの対象となるのは

プレコンセプションケアの対象となるのは、「すべての思春期以降の女性とカップル」とされています。

今すぐに妊娠を考えている女性に限らず、男女ともに早い段階から将来の妊娠や出産の情報に触れていくことが大切だといえます。

産婦人科医・吉村泰典先生からひとこと

現在わが国では、妊娠、出産について知る機会が少ないのが現状です。できれば学校の教育の中で、プレコンセプションケアについて触れることができればよいのではないかと思っています。

欧米では、初めて月経(生理)がくると、子どもが母親と婦人科を受診するケースが多くあります。月経の状態をチェックしたり、低用量ピル(※)について教えたりします。

ところが日本では妊娠を機に初めて産婦人科を受診する人が少なくありません。

20代で子宮頸がんになる人もいます。また、月経周期の異常や、月経困難症(※)、子宮内膜症などの問題を考えると、思春期において産婦人科はもっと身近なものであってよいと思います。

※低用量ピル:低用量ピルは女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)を合わせた薬です。排卵を止める働きがあり、子宮内膜症や月経困難症などの症状を抑える効果が期待できます。

※月経困難症:月経に伴って起こる不快な症状のこと。下腹部痛、腰痛、腹部膨満感などさまざまな症状があります。

毎回月経(生理)が来るたびに訪れるおなかの痛みや不快な症状。当たり前だと思って我慢していませんか?月経に伴い腹痛、排便痛などがある場合「子宮内膜症」かもしれません。適切な治療をすることで症状が落ち着き、進行を防げます。まずは症状をセルフチェックしてみませんか?

プレコンセプションケア の内容は?

具体的にどのようなことが妊娠前からの健康づくりに大切なのでしょうか?

プレコンセプションケア・チェックシートをご紹介します。

プレコンセプションケア・チェックシート・女性用

・適正体重をキープしよう。

・禁煙する。受動喫煙を避ける。

・アルコールを控える。

・バランスの良い食事をこころがける。

・食事とサプリメントから葉酸を積極的に摂取しよう。

・150分/週運動しよう。こころもからだも活発に。

・ストレスをためこまない。

・感染症から自分を守る。(風疹・B型/C型肝炎・性感染症など)

・ワクチン接種をしよう。(風疹・インフルエンザなど)

・パートナーも一緒に健康管理をしよう。

・危険ドラッグを使用しない。

・有害な薬品を避ける。

・生活習慣病をチェックしよう。(血圧・糖尿病・検尿など)

・がんのチェックをしよう。(乳がん・子宮頸がんなど)

・子宮頸がんワクチンを若いうちにうとう。

・かかりつけの婦人科医をつくろう。

・持病と妊娠について知ろう。(薬の内服についてなど)

・家族の病気を知っておこう。

・歯のケアをしよう。

・計画:将来の妊娠・出産をライフプランとして考えてみよう。

MAMADAYSのWEBサイト内にもプレコンセプションケアのヒントになる記事があります。

一例ですが以下の記事も参考にしてみてください。

「葉酸」とは赤ちゃんの障害のリスクを下げるために重要な栄養素です。今回は助産師のさきさんに、妊娠中に摂取するべき時期や適切な量について伺いました。
妊娠中は赤ちゃんのために栄養をしっかり取りたいところ。でも、体重の増えすぎにも気をつける必要があります。体重の増え方の目安や、体重が増えすぎた場合や逆に増えない場合のリスクなどを知って、上手に体重管理をしていきましょう。
妊娠中に感染すると、胎児に難聴などの障害をが起きることもあります。
妊娠中にはじめて感染した場合にだけ、赤ちゃんに影響があります。
妊娠中の体重管理は、安心なお産やおなかの赤ちゃんの発育のために大切です。
太りすぎはよくありませんが、やせすぎもおなかの赤ちゃんの発育と、将来の成人病のリスクが高まることがわかっています。妊娠中は過剰なダイエットはやめて必要な栄養素をとるように心がけましょう。
子宮頸(けい)がん検診を受けよう思いつつ、「痛そう」と受診することをためらっていませんか? なかには自分には関係ないと考えている人もいるかもしれません。子宮頸がんは30~40歳代の発症にピークがあるとされ、ほかのがんに比べ若い世代での発症が多いのが特徴です。

男性にもプレコンセプションケア が必要?

男性にもプレコンセプションケアは必要です。妊娠の問題は女性だけのものではありません。

たとえば、妊娠中に注意したい感染症のひとつに風疹(ふうしん)があります。

ママが妊娠中に風疹にかかることで、おなかの赤ちゃんに心臓の病気や難聴、白内障などをもたらす可能性があるからです。

妊娠前からパートナーの男性がワクチンを受けていると女性に感染させるリスクが減少します。また、周囲への感染を予防することもできます。

風疹ウイルスに感染することで起こります。できれば妊娠前にワクチンを受けておきましょう。

ぜひ以下の項目をチェックしてみてください。

プレコンセプションケア ・チェックシート・男性用

・パートナーと、将来の妊娠・出産やライフプランについて考えてみよう。

・バランスの良い食事をこころがけ、適正体重をキープしよう。

肥満は生活習慣病や心血管病の原因となります。また、肥満は男性不妊と関連することがあります。急なダイエットではなくバランスの良い食事と、健康的なダイエットを心がけましょう。

・たばこや危険ドラッグ、過度の飲酒はやめよう。

受動喫煙は低出生体重児の原因となることがあります。またタバコや危険ドラッグ、上の飲酒は男性不妊の原因になるため注意が必要です。

・ストレスをためこまない。

・感染症から自分とパートナーを守る。(風疹・B型/C型肝炎・性感染症など)

・ワクチン接種しよう。(風疹・おたふくかぜワクチン・インフルエンザワクチンなど)

・自分と家族の病気を知っておこう。

生活習慣病や遺伝性疾患などは、生まれてくる赤ちゃんに影響を与える場合があります。自分と家族の病気を知っておきましょう。

・パートナーと一緒に健康管理をしよう!

パートナーが将来の健康や妊娠のために食事管理をしていたら、一緒にバランスの良い食事をとって健康になりましょう。もしパートナーに持病があれば、定期的な通院をすすめ、サポートしましょう。

妊娠してからでは遅い?

妊娠する前からのケアを前提としているプレコンセプションケアですが、すべてにおいて妊娠してからでは遅いというわけではありません。

栄養素のとり方や血圧、体重管理、感染症など、プレコンセプションケアのチェック項目は、妊娠中にも続けて気をつけたいことがほとんどです。

また、次回の妊娠を考えている場合には、次の妊娠、出産まで有効なプレコンセプションケアの機会となります。

産婦人科医・吉村泰典先生からのメッセージ

プレコンセプションケアの考え方は非常に幅広いものです。

ある意味では「リプロダクティブヘルス・ライツ」という考え方につながります。

これは、子どもを産むか産まないか、産むならいつ産むかといったことを自分自身で決められる権利です。また、女性やカップルの健康を生涯にわたり支援するという考え方です。

妊娠には適切な時期があることや、予防できる病気があることなど、正しい妊娠、出産の知識を男女問わずに学ぶことが大切です。

参考:

国立研究開発法人 国立成育医療研究センタープレコンセプションケアセンターホームページ (2021年2月14日閲覧)

・PERINATAL CARE(ペリネイタルケア )、メディカ出版、2017年11月号

・令和元年度厚生労働科学研究費補助金(女性の健康の包括的支援政策研究事業) 「保健・医療・教育機関・産業等における女性の健康支援のための研究」研究班

日本のプレコンセプションケアを考える 」パネルディスカッション資料

(2021年2月14日閲覧)

写真提供:ゲッティイメージズ

※当ページクレジット情報のない写真該当

お気に入り

関連する記事