【医師監修】妊娠超初期のおりものの特徴は?
はじめに
妊娠超初期とはいつのこと?
妊娠超初期という言葉は実は医学的な用語ではないのですが、一般的には妊娠0〜3週を指していることが多いようです。
妊娠しているかどうかを、おりもので判断することは難しいかもしれません。
ここでは妊娠0〜3週までに起こりうる、おりものの変化の特徴についてお伝えします。
そもそもおりものとは?
おりものとは子宮や腟からの分泌物の総称で、帯下(たいげ)とも呼ばれます。
白色〜透明で、やや黄色の場合もあります。少し粘り気のあるのが特徴ですが、その性状は月経の周期によっても変化しています。
おりものの働きは?
実は、おりものには大切な役割があります。
感染を防ぐ
腟、おりもの中には常在菌である乳酸菌(デーデルライン桿菌(かんきん))がいます。
その乳酸菌が腟内を酸性に保つことにより、ばい菌やカビなどが侵入し感染するのを防いでいるのです。
受精を助ける
排卵期には女性ホルモンであるエストロゲンの影響で、おりものは透明でよく伸び、量も増えます。これを頸管粘液と呼びます。この粘液により弱アルカリ性に傾くことで精子が子宮内に入って行くのを助け、受精しやすくなります。
妊娠超初期のおりものの色や状態は?
妊娠超初期のおりものの色・性状は?
妊娠週数は月経初日から数えるため、妊娠0〜1週ではまだ赤ちゃんはママのおなかに宿っていません。
月経初日から2週間後あたりで排卵があり、卵子と精子が出会うと受精卵となります。
排卵期が終了して黄体期に入ると、プロゲステロンの影響でおりものの量が減り、不透明で粘り気が強くなります。これは、無事に着床していたら、その受精卵を守るため。ほかの精子や異物を侵入しにくくします。
妊娠3週あたりでは受精卵が子宮内膜に着床します。
おりものには個人差がありますが、着床して妊娠が成立すると量が増えて、粘り気が減り、乳白色となります。腟上皮(腟の表面の細胞)のグリコーゲン※量が増加し、PHは低下しPH4前後(弱酸性)になります。そのためおりものが増えたと自覚するようになることも。
※グリコーゲン:糖質の一種。肝臓や筋肉に蓄えられています。デーデルライン桿菌によりグリコーゲンが乳酸に変えられ、腟内を酸性に保ちます。
妊娠週数はどうやってわかる?
生理周期が28日の場合、最終月経開始日を0週0日と数えると、来るはずだった次の月経予定日が4週0日にあたります。生理が遅れて婦人科を受診し妊娠が判明した時点で、妊娠5週目などと伝えられるのはそのためです。
ただ生理周期が不規則な場合は、妊娠週数を数えるのが難しいですよね。
現在では、妊娠が判明した場合、妊娠9〜10週頃に赤ちゃんの頭からお尻までの長さ(頭殿長)を測り、より正確な週数や予定日を目安として出します。
妊娠超初期に茶色いおりものがでるのはなぜ?
おりものが茶色くなる場合、出血が混じっている可能性があります。
月経終了直後では、経血が残っていることもあり、おりものが茶色くなることがあります。
また、妊娠していた場合でも、予定月経が起こる頃に出血することがあります。そのため、その出血を月経と勘違いすることも。もし、妊娠反応が陽性でおりものが茶色い状態が続いたり、量が多いケースでは子宮内で出血の可能性もあります。
早めに医療機関を受診しましょう。
妊娠超初期におりものが水っぽいのはなぜ?
排卵期では、おりものの量が増え粘り気が減り、サラサラとした状態となります。そのため水っぽく感じることもあります。
妊娠超初期に卵白のようなおりものがでるのはなぜ?
同じく排卵期のおりものは、粘り気が減り、無色透明で伸びやすくなります。そのためまるで生卵の卵白のように感じることもあります。
こんなおりものは注意
妊娠するとホルモンの影響からおりものの量が増えることがあります。
異臭やかゆみなどがなければよいのですが、妊娠中は感染症にかかりやすくなっています。
おりものの変化が感染症の目安になることもあるので、色や匂い、かゆみなどの普段とは違う異変を感じた場合には早めに受診しましょう。
注意が必要となる代表的なおりものの変化をお伝えします。
白っぽく、カッテージチーズ、酒かす状のおりもの
カンジダ腟炎の可能性があります。外陰部やその周辺に激しいかゆみや赤くなることがあります。
産道感染により、赤ちゃんに口腔カンジダ症、皮膚カンジダ症を発症させることがあります。異常を感じた場合には我慢せず、受診するようにしましょう。
泡状で黄緑色、匂いが強い
トリコモナス腟炎の可能性があります。感染しても、約半数が症状がないといわれていますが、外陰部や腟がヒリヒリと感じることがあります。
前期破水や、早産の引き金になることもあります。
水っぽくネバネバしている、黄色い、匂いが強い
さまざまな雑菌が原因による細菌性腟症の可能性があります。
かゆみはカンジダ腟炎よりは軽いといわれています。
進行すると骨盤内まで炎症が広がったり、妊娠中には羊水感染、胎児感染と広がり早産の原因となることもあります。
できる限り、清潔を保とう
もしおりものに異常を感じる場合には早めに受診しましょう。
感染症に至っていない場合には、予防のため毎日シャワーなどで清潔を保つようにしましょう。ただし、陰部の洗いすぎは常在菌まで流してしまい、かえって炎症を起こしやすくしてしまうので注意が必要です。
下着をこまめに交換したり、おりものシートを使用したりして清潔に保ちましょう。
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おりものは月経周期により変化があり、妊娠超初期といわれる期間内でも性状が変わります。また、妊娠すると一般的におりものは増える傾向がありますが、個人差があるためおりものの性状で妊娠したかどうかを判断できません。
おりものの異常が気になるとき、妊娠したかどうかが気になるときは、早めに医療機関を受診しましょう。
参考:
・(編集)岡井 崇、綾部 琢哉、『標準産婦人科学 第4版』医学書院、2011年
・(編著者)吉村泰典、『ハッピーライフのために女性が知っておきたい30のこと 明日から役立つ医学のはなし』、毎日新聞出版、2018年
・安達知子(監修)、『はじめてママ&パパの妊娠・出産』、主婦の友社、2018年
・(編著者)立岡弓子、『新訂版 周産期ケアマニュアル 第2版』、サイオ出版、2019年
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